知っていましたか? ハンコは形によって用途が違うんです

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様々なハンコの形状

彫る前のハンコはハンコじゃなくて「印材」と呼ぶ?

 日本文化に深く根ざしている「ハンコ」。昔から馴染みのある商品であり、自分の苗字や名前が彫られている、代表的なオリジナルグッズと言えます。

 このハンコには認印や実印、会社印など様々な種類がありますが、それがハンコの「形」と大きく関わっていることを知っていましたか?
 ハンコの形とその役割について、詳しく説明していきましょう。

ハンコを作る「ハンコ屋さん」では、専門の業者から ハンコは丸くて細長い棒状の材料を仕入れて、自社や提携工場などで苗字や名前を彫ります。この棒状の材料をプロの間では「印」の「材料」、略して「印材(いんざい)」と呼んでいます。また、苗字や名前を彫る面を「印面」と呼びます。

 印材は丸棒、寸胴、天丸、天角の4つが定番の形状で、これに「アタリ」と呼ばれる、印面の上下を判別するためのしるしが入っているか否か、「サヤ」と呼ばれる印材のキャップがあるか無いかを含め、16種類あります。

このほか、割印専用に使われる「割印用印材」、簿記と訂正印用に使われる細長い「訂正印用印材」がよく使われます。訂正印用印材は印面形状が丸型、楕円型の2種類が一般的です。

印材の長さは「丈(たけ)」と呼ぶ

印材の長さは「丈」と呼ばれ、現在では60㎜が一般的です。しかし、昔は今より短い45㎜丈が普及していて、最近では75㎜丈のロング印材も登場しています。つまり「丈」は、時代に応じて長短が変化する「ハンコのトレンド」と言えるかも知れません。

 厳密に言えば、印材の形によってハンコの用途が決められているわけではありませんが、一般的には次のように利用されることが多いようです。
・丸棒……認印、実印、銀行印
・寸胴、天角……会社印
・天丸……代表者印
 なお、実印と代表者印はハンコのサイズが規定されています。実印の大きさは「8㎜の正方形に収まらず、25㎜の正方形からはみ出さないもの」と規定している自治体がほとんどです(一部例外もあるので注意してください)。代表者印の場合は、「大きさ1㎝以上、3㎝以内の正方形に収まるもの」と法務局で決められています。

丸型だけど四角の印材「天角」って何?

 ここでは、代表的な6つのハンコの形状を順に見ていきましょう。

丸棒
真っ直ぐで丸みを帯びた天頂部の印材を丸棒と呼びます。印面の形状は丸型です。一部では、アタリ無しの丸棒を「印相」と呼ぶこともありますが、地域や印材の扱い業者によって差があります。丸棒は「丸寸胴」と呼ばれる場合もあるそうです。丸棒は主に実印、銀行印、認印など、個人用のハンコに使われています。
印材の形状「丸棒」

天丸
天頂部が丸みを帯び、印面までにくびれがある印材です。くびれの角度や形状はメーカーによって違っているのがユニーク。熟練したハンコ職人は、こうしたくびれの角度を見るだけで「◎△社が作った印材だ」とわかるそうですよ。
天丸の印面形状は丸型です。中には「丸天丸」と呼ぶ人もいます。下写真は天丸のサヤ(キャップ)付き。用途は会社の実印とも言える役職印に使われることが多いようです。
印材の形状「天丸」

寸胴
少し角ばった、ゆるいアールのついた天頂部をもつ、真っ直ぐな四角柱型の印材のことを寸胴と呼びます。印面の形状は正方形。一部では「角寸胴」と呼ばれています。寸胴は会社の認印とも言える会社印に使われることが多いようです。
印材の形状「寸胴」

天角
少し角ばった、ゆるいアールのついた天頂部で、印面までにくびれがある印材のことを天角と呼びます。くびれの角度や形状はメーカーによって違います。印面の形は正方形。会社印に使われることが多いようです。一部では天角のことを「角天丸」と呼ぶ人もいるようです。
印材の形状「天角」

割印
契約書の正本と副本、原本と写しなど2つ以上の独立した文書の関連性を示すために、各文書にまたがって捺印するのが「割印」です。領収書とその控えにまたがって捺したり、同じ契約書を2通作った時に捺すことで、「同時に作られた同じ契約書」であることの証明になります。この割印には専用の印材が使われることが多いようです。平べったくて長細い、特殊な形状の印材です。
印材の形状「割印」

簿記印・訂正印
訂正印とは、契約書に記載した字句を書き直したり、書き加えたり削除したときに、訂正したことを証明するために捺すハンコのことです。ハンコ屋さんで「訂正印ください」と注文すると、細長い小さな印面の印材を用意してくれるため、「訂正印=細いハンコ」と思われがちですが、訂正印は「その契約書に捺したハンコを使って訂正印とする」ことが正解です。一般的に「訂正印」は簿記用と同じサイズで、印面は6㎜程度。丸形以外に楕円形もあります。
印材の形状「訂正印・簿記印」

記者プロフィール

記者1号
記者1号
ハンコとスタンプの専門雑誌「現代印章」と、オリジナルグッズを作る業者向け専門誌「OGBSマガジン」の記者。日本全国どこでも現れる。オリジナルグッズを作りたいと考えている人に役立つ知識を紹介するため、日々邁進中。趣味は寺社・仏閣めぐり。