特長は美しい木目と温もり!お馴染み「木のハンコ」を知る

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木材とハンコの関係は古い

ケースに入った木のハンコ
荷物の受け取りや銀行口座の開設など、当たり前に使われている「ハンコ」。そのハンコが一般に普及したのは、今より少し昔の明治時代です。それまでは一部の人達しか使っていなかったハンコが、実印制度ができたことにより一般市民にも必要になったのです。

その時にハンコの素材として選ばれたのが、牙や角に比べて手に入りやすい「木材」。
当時は原材料が豊富で彫刻がしやすい、柘植(ツゲ)材のハンコが多く作られたそうです。

現在ではツゲのみならず、様々な種類の木がハンコの材料(印材)になっています。印材になる条件は、「素材そのものが硬く緻密で彫刻しやすいもの」。そのため全ての木がハンコになるわけではありません。

このコラムでは、木のハンコの素材として代表的な2種類の素材と注目される新素材、手入れ方法などを紹介します。

代表的な2種類の木の印材

まずは木のハンコとして代表的な2種類を紹介します。

1.【ツゲ】
ツゲのハンコ

ツゲの木は木偏に石という字が表すように、非常に硬い木材。しかも繊維が詰まっているため、細かい彫刻作業に適しています。古来より櫛や将棋の駒、そろばんの玉などの加工品に用いられてきましたが、現在では90%以上がハンコの素材に使われています。

またツゲは一般的に柘植、黄楊と書きますが、ハンコの業界では昔から「柘(つげ)」の1字を使っています。店頭ではお客が読めないため、「ツゲ」とカタカナで表記することが多いです。

国内産のツゲの産地は鹿児島県が有名で、「薩摩ツゲ」、「本ツゲ」と呼ばれています。鹿児島産のツゲは、繰り返し農家が植林しているため、森林を破壊しないエコロジーな素材として注目を集めています。国内では他にも御蔵島などで採れる「御蔵島ツゲ」「島ツゲ」があります。

ツゲは、苗木を植えてから印材として収穫できるまでに20~30年かかります。成長過程に枝が折れたり傷ついてしまうと、内部にシミができます。成長すると見えなくなりますが、そのシミや傷が製材の過程で全体の約7割に現れ、廃棄されます。残ったものをさらに印材に加工しますが、そのうちの3割が2級品とみなされます。無垢の一級品は選りすぐりの印材です。またツゲは中国から輸入されたこともあり、「中国本ツゲ」と呼ばれましたが、印材名称が統一された現在ではツゲと言えば薩摩地方の本ツゲを指します。

木の素材の中では最も印章彫刻に向いていますが、湿度や衝撃によって割れが生じることもあります。さらに耐摩耗性も、チタンやアルミなどの金属や、象牙や黒水牛などの動物系印材ほどではありません。一番の魅力は価格の安さ。そのため、役所や企業の事務作業など大量にハンコを使用する場所で採用されています。

 
 
 

2.【アカネ】
アカネのハンコ
本柘の廉価品として主にタイ(旧国名:シャム)から輸入されていたことから、「シャムツゲ」と呼ばれていました。ツゲに似た木材で、硬度が高く印材としても利用できますが、ツゲほど繊維の密度は高くありません。現在はツゲ科の植物でないことが判明したため、平成14年の印材名称統一で「アカネ」に改称されました。今も廉価品として、役所の入札や特需などの大量受注で使用される印材です。なお現在、タイでは森林伐採から洪水などの被害が出たため、伐採が禁止されています。そのためラオスやミャンマーなどから輸入されています。

 

このほか桜や楓、ナツメ、黒檀、屋久杉などの木がハンコの素材となっています。ハンコには木のぬくもりが欲しい、と考える人は、一度色々なお店を探してみるといいかも。思わぬ木のハンコに出会えるかもしれません。

木のハンコの手入れと保管

木のハンコはとてもデリケート。長年使っていると朱肉の油質が染み込んで、枠などの部分がもろくなってしまうことがあります。使用の度に柔らかい布などで印面に残った朱肉を軽く拭きとる習慣をつければ、長く使うことができます。印面に朱肉が詰まっている場合は、使い古した歯ブラシなどで汚れを落とし、柔らかい布で念入りに拭きとりましょう。
 
また木のハンコは湿度の変化に弱いため、保管は湿度、温度の変化が少ない場所がよいとされています。密閉されたところに保管する場合は、乾燥剤を入れて湿度を調節しましょう。

木のハンコの革命!?注目される「木質系新印材」

積み上がった間伐材
最近では、科学技術の進歩で今まで印材として使えなかった木を圧縮加工して硬くしたり、間伐材を成型してハンコにしたりと、木の印材の革命が次々と起こっています。

そして圧縮加工や樹脂を注入して、人工的に強度や密度を高めた木材を印材にしたものは「木質系新印材」と呼ばれています。間伐材を素材にした「彩樺(さいか)」や「アグニ」が有名です。間伐材や建材の端材などを利用して作られているので、木材資源を有効活用するエコ印材としても注目されており、商品によってはグリーン購入法に適合、エコマークを使用しているものもあります。

そのほか廃材やチップを加工して作ったハンコや、森林認証を取得した森からの素材で作ったハンコ、折れたバットから作るハンコまであります。筆記具やノートにエコ性能が求められている今、ハンコも多分に洩れないということです。

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記者プロフィール

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ハンコとスタンプの専門雑誌「現代印章」と、オリジナルグッズを作る業者向け専門誌「OGBSマガジン」の記者。日本全国どこでも現れる。オリジナルグッズを作りたいと考えている人に役立つ知識を紹介するため、日々邁進中。趣味は寺社・仏閣めぐり。