意外と知らない?ハンコの持つ「役割」と使われる「書体」

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私達が普段使っている「ハンコ」には様々な種類があり、それぞれが個別の役割を担っています。
ここでは、それぞれのハンコがどんな時に使われるのか、またハンコに使われている「書体」について解説します。

代表的なハンコの種類と役割

ハンコには実印や銀行印、認印、会社印など様々な種類があり、各ハンコは大まかなサイズが決まっています。
法律的に大きさが規定されているのは実印と代表社印ですが、銀行印や認印などにも長年の慣習を元にしたサイズがあります。
それぞれのハンコの持つ役割と代表的なサイズは以下の通りです。
 
 
・実印【じついん】
住民登録のある市町村役場に登録したハンコのこと。契約時に使用者の意思を証明する役割を果たします。印鑑登録は原則として15歳未満は不可で、ハンコの所有者本人の申請が必要です。市区町村によって違いますが、大きさは「8㎜の正方形に収まらず、25㎜の正方形からはみ出さないもの」という規定が多いです。また登録印は戸籍上の氏名、苗字、名前のいずれかが完全に表示されたものに限られ、苗字に名前の一部を付けたものや、苗字と名前の頭文字同士を組み合わせたもの、氏名をひらがなやカタカナに代えたものは登録できない場合もあります。

男性用が直径15〜18㎜の丸印、女性用が直径13.5〜15㎜の丸印が一般的。


 

・銀行印【ぎんこういん】
銀行に届出を出しているハンコのこと。用途は銀行預金、郵便貯金などです。一本のハンコで複数の口座を開設している人が多いですが、万全を期すなら金融機関や口座ごとに違うハンコを使う方が良いでしょう。

男性用が直径13.5〜15㎜の丸印、女性用が直径12〜13.5㎜の丸印が一般的。


 

・認印【みとめいん】
荷物の受け取りや職場でよく使われるハンコですが、扱いは慎重に。認印と聞けば気軽に捺してしまいがちですが、捺したことでその人の意思を表すことに変わりありません。認印でも、重要書類に捺印すると実印と同じ効力が生じる場合もあります。

男性用が直径10.5〜13.5㎜の丸印、女性用が直径9〜12㎜の丸印が一般的。


 

・訂正印【ていせいいん】
帳簿や契約書に記載した字句を書きなおしたり、書き加えたり削除したときに、訂正したことを証明するために捺すハンコです。正式な訂正印はその契約書に捺したハンコを使って訂正印とします。なお小さなハンコの「訂正印」は簿記用です。

簿記用の訂正印は6㎜程度の小さなハンコで、丸形以外に楕円形(小判型)もある。


 

会社で使用するハンコの定番ラインナップ

・割印【わりいん】
契約書の正本と副本、原本と写しなど2つ以上の独立した文書の関連性を示すために、各文書にまたがって捺印するものです。領収書とその控えにまたがって捺したり、同じ契約書を2通作った時に捺すことで、「同時に作られた同じ契約書である」ことの証明になります。

サイズに決まりはないが、12.5×30㎜など、縦長が一般的。


 

・代表社印【だいひょうしゃいん】
会社を設立する時や代表取締役の変更があった場合に、必ず法務局に登録しなければならないハンコです。いわば会社の実印で、登録申請や株式発行、正式文書など重要な契約時に使用します。

大きさ10㎜以上、30㎜以内の正方形におさまるもの、と規定されている。


 

・社印【しゃいん】
「〇〇株式会社之印」と彫られているのが一般的。四角いので角印と呼ばれることもあります。大きくて立派なハンコなので会社を代表するハンコに思われがちですが、認印のひとつにすぎません。請求書や領収書など、社外に対して発行する文書の社名に重ねて捺されます。

一辺が20〜30㎜の正方形の角印が一般的。会社の認印のようなもの。


 

ハンコに使われる主な書体とその種類

印章を購入する際に、用途を決めて印材を選んだら、次は書体を決めます。
印章で用いられるのは、「篆書」「隷書」「草書」「楷書」「行書」「古印体」「印相体」の7書体。長年の慣例を元にした書体で、それぞれの文字には以下のような特徴があります。
 
 

①篆書【てんしょ】
秦の時代、始皇帝の大臣李斯の手によって統一された文字。正確には「小篆」といいます。

 
②隷書【れいしょ】
前漢時代に小篆が簡略化されて生まれた実用的文字。紙の発明前から使われていました。

 
③草書【そうしょ】
隷書を簡略化した字「章草(しょうそう)」をさらに略した字。判読しにくい文字もあります。

 
④楷書【かいしょ】
章草があまりにも簡略化されたため、一点一画を離して書くようになり生まれた文字です。

 
⑤行書【ぎょうしょ】
楷書と同様、一点一画を離して書くようになり生まれた文字。女性に人気です。

 
⑥古印体【こいんたい】
日本独自の文字で、風雅な味わいを活かした書体です。大和古印と呼ばれることもあります。

 
⑦印相体【いんそうたい】
篆書を変形させたもので、流派によって形が違います。文字が枠に接していることが多いです。

 

使用する用途に合わせて印面の書体を選ぶ


 「このハンコにこの書体は使えない」などという決まりはありませんが、例えば就職のための認印を作る場合、篆書など判読しにくい文字よりも、読みやすい楷書などを選んだ方がよいでしょう。実印についてはその逆で、篆書が主流です。これは実印の性格上、一般の人が読みにくく偽造しにくい特性が買われていると言われています。
印鑑登録についても書体の決まりはありませんが、「判読できない文字は不可」とされています。各市町村によって規定が違うので、該当市町村の印鑑登録規定を確認しましょう。
 
 

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記者プロフィール

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ハンコとスタンプの専門雑誌「現代印章」と、オリジナルグッズを作る業者向け専門誌「OGBSマガジン」の記者。日本全国どこでも現れる。オリジナルグッズを作りたいと考えている人に役立つ知識を紹介するため、日々邁進中。趣味は寺社・仏閣めぐり。