結婚する花嫁さん、慌てないで! 旧姓のハンコをそのまま印鑑登録できるかも

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結婚すると女性の96%は夫の姓に変わります。愛する人と同じ苗字になることは、それはそれで素敵なことですが、結婚後に様々な「改姓」の手続きをしなくてはならないと思うと憂鬱ですよね。運転免許証、パスポート、銀行口座、生命保険、携帯電話、クレジットカード、スポーツクラブにLINEのアカウント名も変えないと……。
そういった面倒を避けたくて、不都合のない範囲で旧姓のままにしておく人も多いはず。

ところが、働く女性はそうもいきません。給与振り込みや納税、年金の名義は新しい姓にしなければならず、それに伴って銀行口座の名義などで改姓手続きが要ります。女性の経営者やフリーランスの方も増えているので、会社設立や銀行口座の開設、事務所の賃貸、融資契約などのビジネスシーンも旧姓のままというわけにはいかないでしょう。なぜって、それらをおこなう際に必要となる運転免許証、住民票、印鑑証明書など、自分の身分証明となる書類は法律上、全て新しい姓になっているからです。
だから、やむを得ず結婚すると改正手続きをするのですが、それによって過去のキャリアは白紙になります。せっかく独身時代に実績を築いて社内や業界で名前を知られた存在になったのに、結婚した次の日から別の苗字で再スタートなんて……それを避けるために何とか旧姓で通しているキャリア女性も多いでしょう。

そういった改姓にまつわる不便を解消して、もっと女性が活躍できる社会にするため、2019年4月17日、日本政府は『住民基本台帳法施行令の一部等を改正する政令』(以下、住基法改正)の公布と、それに伴う『印鑑登録証明事務処理要領の一部改正について』という通知を出しました。
これによって2019年の秋以降、マイナンバーカードや住民票に旧姓が記載され、旧姓のハンコで印鑑登録ができるようになります。実現すれば、旧姓で銀行口座が作れたり、ハンコを買い直さなくても独身時代の実印を今までどおり使える可能性があります。なので、2019年秋以降に結婚を予定している花嫁さんは、慌ててハンコを買いに行かないでくださいね。
ただし、何もせず自動的に旧姓の実印が使えるわけではありません。これから述べる、いくつかの条件と手続きが必要になります。

独身時代の実印を使うには、まず旧姓併記の手続きをしましょう

 

まず、住基法改正についてざっくり説明すると「2019年の11月5日以降、住民票、マイナンバーカードなどに旧姓を記載できるようにする」ということです。これまでは、結婚後に住民票(マイナンバーカードなど)に表記されるのは新しい姓のみでしたが、11月5日を境に、新しい姓の後ろにカッコで旧姓が併記されることになります(上の画像参照)。すると、各種の契約や銀行口座開設などの場面で、旧姓でも本人確認できるようになります(併記の必要がなくなった場合は旧姓を削除することも可能)。この住基法改正とは別に、警察庁も運転免許証に氏名と旧姓を併記できるように準備を進めており、旧姓でも本人確認できる証明書が増えるようです。
※銀行や保険などの口座は、旧姓の本人確認書類があったとしても、旧姓での口座開設が可能かどうかは各金融機関、保険会社によって対応が異なるので個別に確認してください。


また、11月5日を過ぎると自動的に住民票、マイナンバーカードに旧姓が併記されるわけではありません。
旧姓の併記を希望する人は、旧姓が記載された戸籍謄本等を持って役所で請求手続をおこなう必要があります。そしてその手続きを済ませた後、住民票に併記された旧姓のハンコに限り印鑑登録できるようになります。

注意しなければいけないのは、住民票(マイナンバーカードなど)に旧姓を併記する制度は全国共通で11月5日に始まりますが、旧姓のハンコが印鑑登録できるようになる時期は自治体によって違います。
なぜなら、印鑑登録制度は国の制度ではなく、自治体の条例によって定められている制度なので、国の法改正で全国一斉に変更できないからです。そこで「印鑑条例を変えるようお願いします」と自治体に出したのが『印鑑登録証明事務処理要領の一部改正について』なのです。この通知を受けて、これから各自治体が印鑑条例を改正し、印鑑証明書発給システムの改修などを始めます。対応が早い自治体なら住民票と同じ11月5日から「旧姓のハンコの印鑑登録」が始められますが、遅い自治体だと来年以降にずれ込む可能性があります。

旧姓を実印にするための4つのステップ

では、具体的に、11月5日以降「旧姓のハンコで印鑑登録」する方法を説明しましょう。

①これから居住する自治体で、旧姓ハンコが登録できるかどうかを調べる。

前述のとおり、住民票に旧姓が併記されるのは11月5日に全国一斉スタートですが、印鑑登録は自治体によって違います。自治体の公式サイトをチェックするか、窓口に問い合わせて確認しましょう。もし、それよりも前に契約などで実印が必要になるなら、諦めて新しい姓のハンコを作って登録しましょう。

②旧姓が記載された戸籍謄本等を用意する。

各地の印鑑条例では共通して「印鑑登録できるのは住民票に記載された姓名のハンコ」と決められています。つまり、住民票に新しい姓しか載っていないのに旧姓で印鑑登録することはできないのです。そこで、あらかじめ住民票に旧姓を併記する請求手続きをおこないます。そのための手順がこの戸籍謄本等の用意です。戸籍謄本等は、本籍地の市区町村の窓口で請求、もしくは郵送で取り寄せます。戸籍謄本等のコンビニ交付に対応している市区町村であれば、コンビニのマルチコピー機からも発行できます。

③戸籍謄本等とマイナンバーカード(通知カード)を持って旧姓併記の請求をおこなう。

請求手続きは、現住地の市区町村窓口でおこないます。併記される旧姓は1つだけなので、結婚→離婚→再婚を繰り返したりして複数の旧姓がある人は、初めて併記する際に本人の戸籍謄本等に記載されている過去の氏(姓)の中から1つを選びます(その後、他の市町村に引っ越した場合は、転入先の住民票等に併記されている旧姓が引き継がれる)。

④旧姓のハンコで印鑑登録をおこなう。

住民票に併記されている旧姓、または旧姓と名を組み合わせたハンコであれば印鑑登録が可能です。ただし、登録できる印鑑は1つだけ。旧姓と新姓の2本のハンコは登録できません。

ちなみに、独身時代にすでに印鑑登録をしていた女性が住所を変更せずに結婚する場合、上記の②と③の手続きだけで旧姓の印鑑登録が継続される可能性もあります。現在は、姓が変われば自動的に登録印鑑を抹消する自治体がほとんどですが、11月5日以降、条例が改正されていれば、さらに手続きが不要になるので役所に問い合わせてみましょう。

結婚→離婚→再婚 したらどれが旧姓なの?

これまで、旧姓が「田中」で「佐藤」さんと結婚した「花子」さんの場合、印鑑登録できるのは
・「佐藤」(姓)
・「佐藤花子」(姓+名)
・「佐藤花」(姓+名の一部)
……などでしたが、今後は住民票に旧姓併記する請求手続きをおこなっていれば、
・「田中」(旧姓)
・「田中花子」(旧姓+名)
……のハンコを印鑑登録することができます。なお、ここで言う「旧姓」とは前述の③で併記の請求をしたのと同じ旧姓です。結婚前に養子縁組をしていたり、離婚→再婚を繰り返していた人はそのうちからどれか1つだけとなります。
新しい家庭を作るにあたって、新郎新婦で同じ姓のハンコを新調するのも意義深いですが、お仕事で旧姓を手放せなかったり、何かと物入りでハンコまでお金が回らない、という場合は独身時代のハンコを大切に使い続けてみてはどうでしょう。

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