スマホカバーやモバイルバッテリーへのプリントなどで大活躍の厚物UVプリンター。その仕組みと特長とは?

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スマホとモバイルバッテリーの写真

小型厚物UVプリンターでのプリントの仕組み

「アクリルにこんなに簡単に印刷できるなんて信じられない!」「こんなに厚みのあるペンケースに直接インクジェットプリントできるとは!」と、発売当初、多くの人を驚かせた厚物UVプリンター。

スマホカバーブームの後押しを受け、オリジナルグッズの製作マシンとして広く浸透していきました。

このコラムでは、一体どんな仕組みでアクリルや厚みのある素材にプリントできるのか、厚物UVプリンターについて解説します。

厚物UVプリンターは、紫外線で硬化する特殊なUVインクを搭載したプリンターで、厚みのある製品にプリントできるのが特長です。

一般的な家庭用インクジェットプリンターは、紙などのメディアを給紙して、紙を送りながらプリントします。しかし、厚物UVプリンターはフラットなテーブルに製品を置いて、ヘッド部分自体を移動させてプリントします。

溶剤プリンターでのプリントは、ヘッドから吐出されたインクがメディアの上にある「インク受理層」に着弾し、そのまま浸透、乾燥して定着します。そのため、多くの場合、メディアそのものの受理層の性能が重要になります。

溶剤プリンターでのプリントの図解

一方、小型厚物UVプリンターでのプリントは、ヘッドから吐出されたUVインクがメディアに着弾し、その直後、追いかけるようにUVライトが照射され、すぐにインクが硬化、定着する仕組みです。これによってインクが垂れたり滲んだりせず、溶剤インクや水性インクのようにメディアに受理層がなくても表面でインクがガッチリ固まるので、様々な素材にプリントが可能です。ただし、メディア表面に油脂や仕上げ剤などが残っていると、すぐインクが剥がれてしまうので注意が必要です。

小型厚物UVプリンターでのプリントの図解

以前の厚物UVプリンターはUVライトが熱を発するため、フィルムなど熱に弱いメディアにはプリントできませんでしたが、現在はUVライトにLEDを採用した機種が登場。熱を持たないので、プリントできる素材の幅が広がっています。

搭載されている便利機能は機種によって様々

厚物UVプリンターには4mを超える大型機から卓上に置ける小型機まで、様々な種類があり、機種によってそれぞれ特徴があります。

テーブル自動昇降機能が搭載された機種は、プリントする製品の高さに合わせて自動でテーブル高さを調整してくれるので、様々な形状、サイズの製品にプリントするのに重宝します。

空気を吸い込む力で製品を固定してくれるバキュームテーブルは、薄い製品にプリントする時に便利です。

インクミストの吸引フィルターが搭載されている機種もあります。

インクミストとは、プリンターヘッドからインクが吐出される時に出る、インク液滴以外の極小で浮遊する霧状インクのことです。

インクミストについての図解

このインクミストは厄介者で、プリンターヘッドに付くと、UV光で硬化してヘッド詰まりを起こす原因となります。これは通常のクリーニングや日常メンテナンスでは直せず、深刻な不具合に繋がることもあります。

また、インクミストが商品に付いて汚れとなったり、シャープなプリント結果が得られなくなることもあります。回避するには「UV光を反射しない素材を使う」、「ミストフィルターなどでミストを吸着する」などの対策が必要です。

メディアに静電気が帯電していなければインクミストの発生を抑えることができるので、イオナイザーで静電気を除去したり、静電気防止剤入りの脱脂剤を使ったり、アルコールなどでメディアを拭いて対応します。インクミストはメディアに段差がある(インクの飛ぶ距離が長い)と発生しやすいので、ヘッドとメディアの差を詰めることも回避方法の1つと言われています。

UVインクの種類と特徴

UVインクの種類には、PCやアクリルなど硬い素材向けのものや、PUレザーやTPUなど柔らかい素材向けのもの、その両方に対応したものなどがあります。

プリントしてすぐの製品は、UVインク独特の匂いがすることがあります。匂いは数日経てば薄まっていきますが、どの程度の匂いがあり、どれくらいで消えるのか、気になる場合にはあらかじめ確認しておきましょう。

CMYKインクのほかに、白や透明のインクがあり、組み合わせてプリントすることもあります。

「クリアインク」、「グロスインク」、「バーニッシュインク」……メーカーによって呼び方や成分は異なりますが、基本的には「透明インク」のことです。

透明インクの用途は幅広く、何層も重ねて盛り上げ印刷をしたり、表面に艶のある「グロス仕上げ」、表面が艶消しの「マット仕上げ」ができます。また、透明インクだけで模様(パターン)を印刷して、特殊な質感も表現できます(テクスチャ表現)。

印刷が難しい素材には「脱脂剤」と「前処理剤」でプリントを補助

様々な素材にダイレクトプリントできる厚物UVプリンターですが、万能ではありません。

シリコンやアルミ、PPなど、インクが密着しにくくプリントしてもすぐに剥がれてしまう素材もあります。

そこで補助的に使われるのが、商材表面の油を除去する「脱脂剤」とインクの密着性を上げてくれる「前処理剤(プライマー)」です。

脱脂剤は製品の表面の油を取り除く薬剤です。金型での成形に使われる剥離剤や、人の手の油が製品の表面に残っていると、強力なUVインクでもプリントできないため、脱脂剤を使って表面の油をしっかり拭き取ることが重要です。

前処理剤は接着剤のようなもので、製品の表面に塗布することでインクの密着性を上げてくれます。金属、プラスチック、ガラス、ゴムなど素材に応じて様々な前処理剤が使用されます。前処理剤は手塗りタイプ、スプレータイプなどがあり、素材に塗って乾燥させるのが一般的。

ただし、前処理剤を塗ると製品表面の質感が損なわれる場合も。前処理剤をインクスロットに入れてプリントできる厚物UVプリンターであれば、デザイン部分だけに前処理剤を印刷できるので、表面の質感を保つことができます。

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ハンコとスタンプの専門雑誌「現代印章」と、オリジナルグッズを作る業者向け専門誌「OGBSマガジン」の記者。日本全国どこでも現れる。オリジナルグッズを作りたいと考えている人に役立つ知識を紹介するため、日々邁進中。趣味は寺社・仏閣めぐり。