
Q イラスト色紙を飾ったりコピーしてOK? 購入した商品なら自由にできるのでは。
商品を購入したら、その商品の著作権、商標権、意匠権はどうなりますか。例えば、キャラクターのイラストが描かれた色紙の購入者が、自分の経営する喫茶店にその色紙を飾って集客に利用したり、コピー機で複製してお客に無料配布サービスをしたり、その絵柄をプリントしたTシャツを販売すると権利侵害になりますか?
また、その色紙を売却していいですか。お金を払って買ったのだから、購入者が自由にできると思うのですが?

A コピー機で色紙を複製し、無料配布することは、著作権法上の「複製」に該当する
商品を購入すると、購入者はその商品の所有者になります。例えば、私が書店で「ONE PIECE」の単行本を購入した場合、その単行本の所有権(法律の範囲内で物を自由に使用・収益・処分できる権利)は、出版社から私に移動します。
しかしながら、その商品に関わる著作権、商標権といった知的財産権は、商品を売買しても原則として移動することはなく、権利者の下に留まります。例えば、「ONE PIECE」の単行本を購入しても、私が「ONE PIECE」の著作権者になることはありません。
購入した商品をどのように利用できるかは、それが所有権の範囲内での利用なのか、特定の知的財産権の行使にあたる利用なのか、で区別して考える必要があります。特定の知的財産権の行使にあたる利用の場合は、権利者に無断で利用できる例外に該当しないかを検討します。
まず、キャラクターのイラストが描かれた色紙を店内に飾る行為は、著作権法上の展示権(美術の著作物または未発行の写真の著作物について、その原作品を公に展示する権利)の侵害にはあたらないと考えられます。色紙が美術の著作物にあたる場合であっても、美術の著作物の原作品の所有者は、これを公に展示することができるという例外が定められているからです(著作権法45条)。
また、色紙の展示が集客という商業目的であったとしても、イラストが何らかの商標権と結びついて、かつ喫茶店のサービスの出所を示す方法で利用(商標としての使用)されている、といった特殊な事情がない限り、商標権の侵害にもあたらないと考えられます。
では、コピー機で複製してお客様に無料配布する場合はどうでしょうか。これは、お客様から直接複製物の対価を受け取らなかったとしても、著作権法上の複製権の侵害にあたると考えられます。コピー機で色紙を複製する行為は、著作権法上の「複製」に該当します。著作権法上、複製権に対しては、「私的使用のための複製」という例外があります。しかし、お客様に配布する行為は、集客という宣伝効果を高める目的があるといえ、「私的使用」の範囲を明らかに超えています。
また、有料のTシャツの柄に使う行為は、イラストをTシャツの柄としてプリントする行為は「複製」、そのTシャツを販売する行為は「譲渡」にあたり、著作権者の許諾がなければ複製権と譲渡権の侵害になります。仮に色紙に修正を加えてTシャツのデザインにした場合は、「翻案権」の侵害にも当たります。
他方、色紙そのものを売ることは著作権侵害にはあたりません。所有権に基づく行為として可能です。

ところで、デザイン(形状、模様、色彩など)を保護する権利として意匠権が知られているため、イラストに関する知的財産権についてご質問をいただく際に、意匠権侵害をお尋ねいただくことがあります。
しかしながら、意匠権とは、工業デザインに対して認められる権利であって、著作権と異なり、特許庁に意匠登録することをもって成立する権利です。したがって、ご質問のようなケースで意匠権が問題になることはありません。ちなみに、意匠権のある車の写真を使ったTシャツを作ったとしても、原則として意匠権の侵害にはあたりません。
正規に購入した商品であっても、その商品に含まれる知的財産権を自由に利用できるわけではありません。特に、複製や改変を伴う利用、商業目的の利用については、権利侵害にならないか注意が必要です。
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