著作権と商標権と意匠権は保護期間から監督官庁まで違う

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著作権は登録が必要?

商標権は登録しなければならない

商標権と著作権は、どちらもイラストやマークを扱うときに語られる権利であるため混同しやすいのですが、この2つの権利は明確に違うものなので注意が必要です。

これまで述べてきたとおり、著作権は出願も登録も不要で作品が世に生み出されたと同時に自然発生する権利で、日本では著作者(個人の場合)の死後50年間、著作物を保護します。

一方、商標権は企業や団体、ブランドのロゴマークやシンボルキャラクター、エンブレムといった「商標」を保護する権利。「商標法」という法律によって定められています。

厳密には、商品に使われるものを「商品商標(トレードマーク)」、役務に使われるものを「役務商標(サービスマーク)」という。商品の販売や役務の提供を継続すると、そこで使われる商標は広く知られることとなり、品質や信用がブランドとして財産的価値になります。この財産的価値=商標を保護し、独占的に使用できる権利を与えるのが商標権です。

商標権と著作権の最大の違いは、商標権は特許庁に出願・登録することで取得できる権利だということです。

つまり登録しなければ保護されません。保護期間は現在の日本では登録後10年間。著作権の50年よりも短いように思うかもしれませんが、商標権は何度でも更新可能。更新登録を繰り返せば100年間保護することもできます。

ちなみに登録された商標のことを登録商標と呼びます。商標は、文字や図形、記号、それらを組み合わせたもの、立体物(ペコちゃんの人形など)でも登録できます。

著作権、商標権、意匠権の違い

著作権、商標権、意匠権の違い

商号登記と登録商標は別もの

また、®マーク、TMマーク(SMマーク)など、商標を示す記号をよく見かけますが、これらも©マーク同様に日本では表示が義務付けられてはいません。

もう一つ良く似た知的財産権として「商号権」がある。商標と商号は混同されやすいですが、全く別のものです。

商号とは、商人が営業を行う際に自己を表示するために使用する屋号のことで、商法や会社法において規定されています。

この商号を他人の妨害を受けることなく自由に使用できる権利(商号使用権)と、他人が不正競争の目的で同一または類似の商号を使用することを排除できる権利(商号専用権)のことを一般的に商号権と呼びます。

商号は法務局で登記することができますが、所在場所さえ異なっていれば、他人の商号と同一の商号を登記することが可能です。

更新をしなくても無期限で保護されますが、登記された商号に独占権が認められるのは、その本店が存在する同一の市町村(政令指定都市の場合は区)内だけです。そのエリア外で同業他社が同じ商号を登記したとしても、それを止めることはできません。

一方、登録商標は日本全国で権利が保護されます。また、商号登記と商標登録はリンクしていないので、「法務局に登記さえすれば商標登録しなくても保護される」というのは誤解です。

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記者プロフィール

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ハンコとスタンプの専門雑誌「現代印章」と、オリジナルグッズを作る業者向け専門誌「OGBSマガジン」の記者。日本全国どこでも現れる。オリジナルグッズを作りたいと考えている人に役立つ知識を紹介するため、日々邁進中。趣味は寺社・仏閣めぐり。