パロディやオマージュは著作権侵害にならない?
オリジナルグッズの中でも、クラスTシャツやスポーツチーム、ダンスチームなどのウエアには、ブランドやキャラクターをもじったパロディデザインが多いようです。
原作に敬意を払った上で似たようなデザインにする「オマージュ」もよく耳にします。
コピー商品や盗作とは違い、悪意なくおこなうこれらの行為は、法律的に見て許されるのでしょうか?
まずはじめに「パロディ(オマージュも含む)」と「盗作」、「コピー商品」の違いについて整理してみましょう。
パロディとは下敷きとなる作品(小説やイラスト、デザイン、楽曲など・以下「原作」という)の内容を改変したり別の要素を付け加えることで、原作とは違う解釈やユーモアを表現すること。
したがって、パロディ作品においては、原作の存在が同時に伝わっていなければパロディ自体が成立しません。
例えば、熊本県のゆるきゃら「くまモン」を白く塗り替えた「しろくまモン」というパロディキャラクターを考えたとして、くまモンを知らない外国人には、ただの白熊のキャラクターとしか映らずパロディ的な面白さは伝わらないでしょう。
それに対して盗作は、原作を盗用または部分的に改変して、自分のオリジナルの創作物であるように偽る行為のことです。
従って原作の存在を秘匿するのが普通です。原作が知られていないと成立しないパロディと、知られないようにする盗作は、この点が大きく違います。
また、コピー(贋作)商品は原作品に似せて作ったものを原作品と錯誤させる行為で、パロディと同じく原作が知られていなければ効果を発揮しない盗作と言えます。
では、パロディ、盗作、贋作は著作権法の上でどのような違いがあるのでしょうか?
答えは「どれも同じで、著作権侵害にあたる」です。
日本の著作権法ではパロディも盗作も、原作の翻案とみなされます。
贋作は複製です。これらを著作権者の許可なしに行うことはすべて違法なのです。
原作に対する敬意が払われていればユーモアとして認められるべき、原作の新たな解釈や需要を拡大する効果もある、などと肯定する意見もあるが、原作の著作権者から訴えられれば、盗作と同じように著作権侵害になる可能性があります。
ただし、欧米ではパロディを理解する風潮もあり、フェア・ユース(公正な使用)であるという条件を満たせば著作権者の許可なくパロディにすることができると定める国もあります。
親告罪だから、著作権者が訴えなければ不問
このように、法律的には「日本の国内法ではパロディはアウト」となりますが、実際には著作権侵害は親告罪であり、つまり著作権者がパロディを行った者を訴えない限り罪に問われません。
前述のアイドルグループのファン自作うちわと同様に、著作権者が告発しないことでパロディの存在を緩やかに認めているのが現実です。
ただし、告発されるリスクは常に考えておくべきでしょう。
近年では、菓子の「白い恋人」と「面白い恋人」、高級腕時計「フランクミューラー」と「フランク三浦」のように、パロディ商品を正面切って訴える事例も少なくありません。
これらの場合、著作権よりも商標法や不正競争防止法といった強制力のある法律が適用されるので、より注意が必要です。
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