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辺の長さの比率で分けられる「長形封筒」「角形封筒」「洋形封筒」
物を送る時に欠かせない和封筒・洋封筒ですが、非常にたくさんの種類があるため、どの封筒を使えばいいのか迷う人も多いのではないでしょうか。
用途に合わせて、サイズや形状はもちろん、窓や口糊にも様々な種類があります。
このコラムでは、発注前に知っておきたい封筒の種類をまとめたので、ぜひ封筒選びにお役立てください。
封筒には、短い辺の方に封入口がある「和封筒」と長い辺の方に封入口がある「洋封筒」があります。
さらに、封筒の天地(縦の長さ)と幅(封入口の広さ)の比率によって、3種類に分けられます。
天地が幅の倍以上の封筒を「長形封筒」、長形封筒よりも幅が長い封筒を「角形封筒」、角型封筒よりもさらに幅が長く、天地より幅の方が長い封筒を「洋封筒」といいます。
※長形封筒のみを指して「和封筒」と呼ぶ場合もあります。
どの封筒に何が入る? 封筒のサイズ一覧
封筒のサイズについて、詳しく見ていきましょう。
封筒の寸法は、フラップと呼ばれるフタ部分を折った状態(封緘した状態)で計測し、幅×天地で表示します。
A4サイズの用紙を3つ折りにして入れられる長3封筒(長形3号)、A4の書類に折り目を付けずにクリアファイルごと入れられる角2封筒(角形2号)、招待状や案内状に最適な洋1封筒(洋形1号)などが一般的によく使用されている封筒です。
用途や入れる物の大きさに合わせて、封筒を選びましょう。
また、封筒を郵送に使う場合には、あらかじめ郵便料金をチェックしておくと良いかも。
日本郵便が定めた定形郵便物の条件を満たし、切手を貼って郵送できる封筒を「定形封筒」、それ以外を「定形外封筒」といいます。
日本郵便のHPに掲載されている定形郵便物の条件は以下の通り(2019年10月時点)。
【定形郵便物・定形外郵便物のサイズ・重さについて】
〈定形郵便物〉
・50g以内
・最大サイズは縦23.5cm×横12cm×厚さ1cm
・最小サイズは縦14cm×横9cm
〈定形外郵便物〉
・規格内:1kg以内
・規格内:最大サイズは縦34cm×横25cm×厚さ3cm
・規格外:4kg以内
・規格外:最大サイズは縦60cm、縦+横+厚さ=90cm
・最小サイズは
(1)円筒形かこれに似た形のものは直径3cm×長さ14cm、
(2)(1)以外のものは縦14cm×横9cm
※特例:上記の制限より小さなものでも6m×12cm以上の耐久力のある厚紙
または布製のあて名札を付ければ差し出すことができます。
長方形でない郵便物は、定形郵便物のサイズ内であっても定形郵便物として郵送できず、定形外郵便物の扱いとなります。
封筒の貼り方(構造)6種の特徴
封筒の貼り方(構造)の種類を知っておくことも、封筒選びのポイントです。
和封筒の貼り方(構造)には、「センター貼り」「サイド内貼り」「サイド外貼り」などがあります。
1、センター貼り(中貼)
封筒裏面(差出人面)の中心で貼り合わせがしてある封筒。
和封筒の最もスタンダードな貼り方です。紙が2重になる貼り合わせ部分が中心にあるため、保管時に安定感があります。
封入時に引っかかりにくく、封入物が入れやすい、作業性が良い封筒です。
2、サイド内貼り(右サイド内貼り、左サイド内貼り)
封筒裏面(差出人面)の右側または左側に貼り合わせがしてある封筒で、のりしろ部分が内側に隠れる貼り方です。
貼り合わせ部分をサイドに寄せることで、平均的に力をかけることができるため、印刷が綺麗に仕上がります。
宛名書きの際に、段差がなく書きやすいというメリットがあります。
3、サイド外貼り(右サイド外貼り、左サイド外貼り)
封筒裏面(差出人面)の右側または左側に貼り合わせがしてある封筒で、のりしろ部分が上にかぶさる貼り方です。
貼り合わせ部分がサイドにあるので、印刷が綺麗に仕上がり、宛名も書きやすいことに加えて、内側に引っかかりがなく封入しやすいため、作業効率が良い封筒です。
洋封筒でよく見られる貼り方は、「カマス内貼り」「カマス外貼り」「ダイヤモンド貼り」です。
4、カマス内貼り
封筒裏面(差出人面)の左右両側に貼り合わせがある封筒で、のりしろ部分を内側に隠す貼り方です。
ビジネス用の洋封筒としてスタンダードに使用されています。
貼り合わせがサイドにあるため、印刷しやすく、書き込みやすいという特長があります。
封入口が広いので封入物の出し入れがしやすく、自動封入機にも適しています。
5、カマス外貼り
封筒裏面(差出人面)の左右両側に貼り合わせがある封筒で、のりしろ部分を外側に出す貼り方です。
内側に引っかかりがなく封入しやすいため、作業性の良い封筒です。
6、ダイヤモンド貼り
フラップ(フタ)が三角形の封筒で、のりしろが斜め方向に施されています。
招待状、挨拶状などフォーマルな用途に最適な封筒です。
展開するとダイヤに似た形になります。
糊付け作業の手間を削減できる4種類の「口糊加工」
封筒の封をする時、「フラップ」と呼ばれるフタ部分を折って、糊などで胴体部分にくっつけますが、その糊付け作業の手間を減らしてくれるのが、「口糊加工」です。
封筒にあらかじめ糊が付いているので、簡単に綺麗に封緘することができます。
加工の種類と特徴を知って、封筒の用途に合わせた口糊加工で作業効率をアップしましょう。
封筒の口糊加工は、主に4種類に分けられます。
※名称が統一されておらず、封筒メーカーによって呼び方が異なります。ここでは1つを代表として、他を別名として表記しますが、優劣はありません。
1、両面テープ(別名:スラット、エルコン、ファインタック、テープスチックなど)
フラップに両面テープを貼り付けたもの。
両面テープの剥離紙を剥がして封緘します。
フラップではなく胴体の封入口部分に両面テープを付けられるタイプや、剥離紙の両端を接着剤部分より長くすることで剥がしやすくした「耳付き」タイプを取り扱っている業者もあります。
両面テープのため、長期保存に適しており、粘着力も強力。
接着効果の期間は約6ヶ月~1年程度が目安ですが、封筒の保存状態により変化します。
2、クイック(別名:Nクイック、剥離紙、グラシンテープ、ホットメルト、ハイシール、グッド、ワンタッチ、テープタックなど)
封筒胴体の封入口に糊加工を施して、その上に剥離紙を被せたもの。
剥離紙を剥がして封緘します。
剥離紙が糊部分よりも大きくなるため、剥がしやすいという特長があります。
接着剤は、水溶性のタイプと、樹脂系で強力なタイプがあります。
封筒の胴体部分ではなく、フラップに加工できる業者もあります。
剥離紙が糊部分を覆っていることでホコリなどを防げるため、比較的長期保存に適しています。
接着効果の期間は約6ヶ月~1年程度が目安ですが、封筒の保存状態により変化します。
3、アドヘア(別名:アドヘヤ、スチック、タック、ピタットなど)
フラップと胴体の封入口部分の両方にゴム系の接着剤を塗って乾燥させたもの。
フラップを折り曲げ胴体の糊と合わせて押さえるだけで接着できます。
剥離紙を剥がす手間がないため、短時間で多くの封緘が可能で、ゴミも出ません。
ただし、糊加工面が空気にさらされ粘着性が劣化するため、長期保存には向きません。
大量で短期間に使用する場合に最適です。
接着効果の期間は約3ヶ月~6ヶ月程度が目安です(3ヶ月程度とするメーカーもあります)。これは良好な条件下での目安であり、封筒の保存状態により変化します。
4、アラビア(別名:口糊、水糊など)
フラップ上部にアラビア糊(水糊、再湿糊)を塗って乾燥させたもの。
封緘時は、切手を貼るのと同じ要領で、糊の付いている面に水を付けて接着します。
主に洋形封筒(長辺に封入口がある封筒)に使われています。
洋形封筒のみにしか加工できない業者もあれば、長形・角形封筒にも対応できる業者もあります。
自動封入封緘機が対応しているのは、主にこの種類です。
湿らせていなければ、封筒同士で接着することはないので、保存にも適しています。
宛名シール不要で手間削減&宛先間違いを防げる「窓付き封筒」
口糊加工以外にも作業効率アップに繋がる封筒があります。
納品書や請求書、DMなどの送付に便利な「窓付き封筒」です。
窓付き封筒は、内容物に記載された情報がダイレクトに見える封筒です。
宛名シールを貼ったり、宛先を印字する手間が省けるので、定期的な発送や大量発送に適しています。
また、封入作業で封筒に記載された宛名と中身の入れ間違いを防げるため、個人情報保護にも優れています。
窓付き封筒にも様々な種類があります。
1、セロ窓封筒
封筒の一部分を切り抜き、内側からフィルムを貼り付けた最もポピュラーな窓付き封筒です。
セロ窓のフィルムは透明度の高いセロハン素材なので、宛名などの必要な情報を窓からはっきり見せる場合に向いています。
強度が高く破れにくい反面、熱には弱いため、熱を発するレーザープリンターなどでの印刷はできません。印刷したい場合は、レーザープリンター対応の耐熱フィルムを用いた窓付き封筒を使用すると安心です。
また、廃棄する際には封筒の紙とセロハン部分で分別が必要です。
2、グラシン窓封筒(エコ窓封筒)
封筒の一部分を切り抜き、内側から半透明の薄い紙「グラシン紙」を貼り付けた封筒。
窓部分の材質が紙なので、廃棄の際に分別は必要ありません。
環境に優しく、「エコ窓封筒」とも呼ばれます。
セロハンよりも熱に強いので、レーザープリンターなどで印刷しても大きなシワができにくいという特長があります(印刷機により異なります)。
一方で、セロ窓と比べて透明度は低く、強度は下がります。湿気にも弱いため、保管には注意が必要。
商品パッケージやデザインにこだわったDMなどに人気です。
3、ワックス窓封筒(プラ窓封筒)
切り抜いた窓に素材を貼り付けるのではなく、封筒の一部に特殊樹脂を浸透させることで半透明にするタイプの窓付き封筒。
封筒と窓が一体化していてフラットなので、封入時に引っかかりがなく、大量の発送物に最適です。
セロ窓に比べて透明度は低いですが、複数窓や変形窓の加工が比較的簡単にできます。
封筒全体が紙製なので、廃棄の際の分別は不要。
4、窓抜き封筒(オープン窓封筒)
封筒の一部を切り抜いて窓を開けますが、フィルムは貼らずに、切り抜いたままで使用する封筒です。
郵便には使用できません。
手渡し用や商品パッケージとして利用されるのが一般的です。家電などの保証書用に使われているのを見たことがあるのでは?
5、生分解窓封筒
封筒の窓のフィルムに植物資源で作られたエコ素材を用いた封筒です。
石油から作られた透明フィルムとは異なり、生分解性フィルムは植物を元に作られているため、土や水中にいる微生物による分解が可能。二酸化炭素や水に分解されるため、環境に悪影響を及ぼす心配がありません。
封筒を郵便物として使用する場合、窓の仕様は日本郵政のガイドラインで取り決めがあるので注意しましょう。
日本郵便のHPに掲載されている「定形郵便物・はがき作成のガイドライン」は以下の通り(2019年10月時点)。
・郵便物の受取人の住所または居所は、窓の長辺に平行してあらわれるように記載してください。
・内部に記載した郵便番号及び宛名が封筒の中で移動しても、窓の外に隠れることのないようにしてください。
・郵便番号及び宛名を記載する用紙は、裏の文字等が透けて見えないものを使用してください。
・封筒の窓は、薄い透明物またはこれに類するもので容易に剥がれないように密着させたものに限り使用できます。
・宛名及び差出人を透視する窓は、受取人または差出人の氏名、住所、居所などが明瞭に透視できるようにしてください。
・宛名を透視する窓の材料は、不透明度が20%以下のものを使用してください。(不透明度は100%で完全不透明となります。曇り窓を使用する場合、機械による区分に支障をきたす可能性がありますので、封筒メーカーなどにご確認いただき、不透明度20%以下のものを使用してください)。
・窓の内部にカスタマバーコードを記載する場合は、記載部分が封筒の中で移動しても、窓の外に隠れることのないようにご注意ください。
・合成樹皮封筒以外の封筒についての窓の設け方は、推奨事項です。
紙の種類と印刷内容を決めて発注
封筒のサイズ、貼り方、口糊、窓について決まったら、次は紙の種類を選びます。
業者によって取り扱っている紙の種類が異なるので、サンプルを取り寄せるなどして確認しましょう。
「郵便料金を抑えたいので軽くて薄い封筒にしたい」「インクが滲みにくいものがいい」「個人情報を取り扱うため、中身が透けない加工が施された封筒を使いたい」など、用途や希望を業者に伝えて、相談してみても良いかも。
紙の種類が決まったら、最後に印刷内容を決めて発注します。
フルカラーでプリントするのか、1色印刷で価格を抑えるのか、コーポレートカラーやロゴマークなどに特色を使用するのか、などによって印刷方法が変わってきます。
印刷内容のサイズや色、印刷する位置、デザインから作ってもらうのかプリントデータを持ち込むのかなど、発注先の業者と完成イメージを共有して依頼しましょう。
まとめ
以上の封筒の基礎知識について、簡単にまとめました。
封筒の種類には、短い辺の方に封入口がある「和封筒」と長い辺の方に封入口がある「洋封筒」があり、封筒の天地と幅の比率によって「長形封筒」「角形封筒」「洋封筒」の3種類に分けられます。
A4サイズの用紙を3つ折りにして入れられる、最もスタンダードな封筒が「長3封筒(長形3号)」。A4の書類に折り目を付けずにクリアファイルごと入れられる「角2封筒(角形2号)」や、招待状や案内状に最適な「洋1封筒(洋形1号)」なども一般的によく使用される封筒です。
和封筒の貼り方(構造)には、貼り合わせが中心にある「センター貼り(中貼り)」、貼り合わせがサイド(右側または左側)にあり、のりしろが内側に隠れる「サイド内貼り(右サイド内貼り、左サイド内貼り)」と、のりしろが上にかぶさる「サイド外貼り(右サイド外貼り、左サイド外貼り)」などがあります。
洋封筒の貼り方(構造)には両サイドののりしろを内側に隠す「カマス内貼」、両サイドののりしろを外側に出す「カマス外貼り」、フラップ(フタ)が三角形の「ダイヤモンド貼り」などがあります。
封筒の口糊加工には、フラップ(フタ)に両面テープを貼り付けた「両面テープ(別名:スラット、エルコン、ファインタック、テープスチックなど)」、封筒胴体の封入口に糊加工を施して剥離紙を被せた「クイック(別名:Nクイック、剥離紙、グラシンテープ、ホットメルト、ハイシール、グッド、ワンタッチ、テープタックなど)」、フラップと胴体の封入口の両方にゴム系の接着剤を塗って乾燥させた「アドヘア(別名:アドヘヤ、スチック、タック、ピタットなど)」、フラップ上部にアラビア糊(水糊、再湿糊)を塗って乾燥させた「アラビア(別名:口糊、水糊など)」などの種類があります。
窓付き封筒には、透明度の高いフィルムを使った「セロ窓封筒」、半透明の薄い紙であるグラシン紙を使った「グラシン窓封筒(エコ窓封筒)」、特殊樹脂を浸透させて半透明にした「ワックス窓封筒(プラ窓封筒)」、切り抜いたままでフィルムは貼らない「窓抜き封筒(オープン窓封筒)」、植物資源で作られたフィルムを使った「生分解窓封筒」などがあります。
紙の種類は、発注業者にサンプルを取り寄せてチェック。印刷内容を伝えたり、完全データを送るなどして発注します。
豊富な種類がある封筒ですが、色合いや形状で受け取った時の印象が大きく変わるので、用途に沿って適したものを選ぶことが大切です。
例えば、事務的な文書には茶封筒、社交・儀礼文書には二重の和封筒や洋封筒、お悔やみ状やお見舞い状には一重の和封筒を使用するなど、使い分けが必要な場面もあります。
また、デザイン性を重視した用途なら、マルタック(玉ひも)やマチを付けてお洒落に使いやすくアレンジしたり、黒い封筒でDMを送って目を引くと同時に高級感を演出したり、簡単に何度も開け閉めできる差し込み口のカット加工を施したりと、工夫した封筒を使っても好印象。
身近で使用頻度の高いアイテムだからこそ、このコラムを参考にこだわりの封筒を作ってみては?