自作のイラストがネットでアップロードされていた! 著作権侵害にならないの?

関口慶太関口慶太

Q 自分が描いたイラストが無断でネットにアップロードされてたら?

弊社では、お客様が持ち込んだ絵や写真だけでなく、代表者である私が描いたイラストをプリントしたオリジナルグッズを販売しています。
特に私の猫のイラストは好評で、オリジナルグッズ販売も好調なのですが、お客様から私のイラストが無断でアップロードされているとの情報提供がありました。どうやらリーチサイト(違法コンテンツに利用者を誘導するためのリンクを集めて掲載するサイト)を通じて簡単に閲覧・利用できるというのです。このような行為は違法ではないですか。著作権法が改正されたと伺いましたので、この点を教えてください。
 

A 違法と認定される可能性あり。フリー素材でないことを告知するなどの対策を

近年、「漫画村」や「はるか夢の址」といったサイトによる海賊版被害が大きな社会問題となりました。一説には「漫画村」では約3000億円相当もの出版物がタダ読みされ、「はるか夢の址」では年約731億円もの被害が生じたと言われています。
 
令和元年11月には、講談社が当該運営者に対して提起した損害賠償請求訴訟において、1億6000万円の支払を命じる旨の判決が言い渡されました(講談社ニュースリリースほか)。著作権法改正前から、著作権者の許可なく著作物をアップロードする行為は違法でしたが、海賊版対策として不十分という批判がありました。
そこで、こうした社会背景や批判を受け、令和2年6月、海賊版対策を強化する著作権法改正がなされました。
主な海賊版対策のポイントは、①リーチサイト等の規制、②侵害コンテンツ(違法にアップロードされた著作物等)のダウンロード違法化です。リーチサイト等の規制は令和2年10月に施行されました。そこで、今回は文化庁の説明資料を参照しながら、海賊版対策に関する著作権法改正のポイントをご説明しましょう。
 


 
まず、①リーチサイト等の規制とは、リーチサイトやリーチアプリの運営・提供に関する行為を規制するものです(新設の著作権法113条2項他)。他人の侵害コンテンツの利用を容易にするリーチサイトを運営する行為や、リーチアプリを提供する行為が、刑事罰(親告罪)の対象となりました。また、リーチサイトやリーチアプリにおいて侵害コンテンツへリンク等を提供する行為も著作権等を侵害する行為とみなされ、刑事罰(親告罪)の対象となりました。
 
次に、②侵害コンテンツのダウンロード違法化とは、違法ダウンロードの対象を音楽・映像に限定せず、著作物全般(マンガ、イラスト、写真、コンピュータプログラムなど。翻訳以外の二次創作・パロディを除きます)に拡大するものです。
違法にアップロードされたものだと知りながら侵害コンテンツをダウンロードする行為について、一定の要件の下、私的使用目的であっても(!)違法とし、正規版が有償で提供されているもののダウンロードを継続的に又は反復して行う場合には、刑事罰(親告罪)の対象となりました。
 
刑事罰を適用するには、侵害コンテンツの正規版が有償で提供されているものでなければならないと定められたことは重要です。なお、正規版が有償で提供されていない場合であっても、民事上の措置が可能です(第30条第1項第4号)。
また、①スクリーンショットを行う際の写り込み、②漫画の1コマ~数コマなどの「軽微なもの」、③二次創作・パロディ、④「著作権者の利益を不当に害しないと認められる特別な事情がある場合」は除外となりました。何が「軽微なもの」と認められるかは、今後の判例の蓄積が必要です。
 
ただ、ご相談の猫のイラストの例でいえば、サムネイル画像の場合のように、画質が低く、それ自体では鑑賞に堪えない場合は「軽微なもの」と言えるでしょう(文化庁説明資料15頁参照)。
ご相談のケースは、違法と認定される可能性があります。そこでまずは警察に相談すると共に、違法ダウンロードを防ぐため、貴社のサイトに猫のイラストがフリー素材でないこと等を告知する対策を取ると良いでしょう。
 
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記者プロフィール

関口慶太
関口慶太
今井関口法律事務所 代表弁護士。1981年生まれ。群馬県出身。大阪大学法科大学院卒。企業法務に精通し特に知的財産権に関するエキスパート。妻と2歳の息子と3人暮らし。「分かりやすくてためになる記事をご提供したいと思います。よろしくお願いいたします」。