どこのご家庭にも一つはあると言われている「カレンダー」。ご家庭以外でも目にすることが多く様々な形のものが販売されています。
そんなカレンダーは、昔から企業間での贈答品や販促品などにも利用されており、デジタル全盛期の現代でも高い宣伝効果を得ることができる営業ツールとして根強い人気があります。その人気の理由は、日々の生活に欠かせないもののため処分されにくく、営業ツールに適しているからだと考えられます。
今回のコラムでは、そんなカレンダーへの「名入れ」について紹介します。
目次
意外と浅い?カレンダーの歴史
日本におけるカレンダーの歴史を紐解いてみると、その始まりは明治時代の中ごろだと言われています。
ある商人が、年間の農作業の計画に沿って作られた暦である「農事歴」が掲載されていた「伊勢暦(いせごよみ)」を買った際にカレンダーへ繋がるヒントを得て、各商店向けに月めくりカレンダーと日めくりカレンダーを大阪で製造しました。やがてそれが全国に広まり、現代カレンダーの起源となったそうです。
※諸説あります
戦前は、日めくりカレンダーが一般的となっていましたが、戦後は印刷技術の進歩と共に、暦と共にアート作品を掲載した美術カレンダーへと移行しました。そして大企業による広告宣伝の増加にともない、宣伝用のカレンダーが作られるようになりました。
現在、カレンダーの種類を大きく分けると、贈答用の名入れカレンダー、宣伝用の企業カレンダー、個人向けのパーソナルタイプの3種類があります。
まずはカレンダーの形状を選ぶ
贈答用の名入れカレンダーの形状は、主に次の2種類です。
1. 壁掛け式
⇒1年分(12ヶ月)の暦を12枚の紙にひと月ずつ印刷し、1つにまとめた形式のカレンダーです。暦の下の余白スペースに名入れします。サイズはB4切(535×横380mm)が多いです。見開きで使うブックタイプ(中綴じ)もあります。
2. 卓上式
⇒1年分(12ヶ月)の暦を12枚の紙にひと月ずつ印刷し、その紙をスタンドに立て掛けて使うカレンダーです。暦の下の余白スペースもしくはスタンド部分に名入れします。
卓上式は1枚ずつ紙を抜き取るタイプと、リングで紙を固定した月めくりタイプがあります。またサイズは、机周りの邪魔にならないコンパクトなものが多いです。
壁掛け式と卓上式はそれぞれ印刷方法が異なり、印刷技術やノウハウがあるメーカーでないと綺麗に仕上げることはできません。そのため発注をする時は、カレンダーの名入れを専門におこなっているメーカーを選びましょう。
壁掛け式への名入れには、オフセット印刷を取り入れているメーカーが多いです。オフセット印刷とはアルミの版を用いて印刷する方法で、複雑なロゴやマークなども綺麗に印刷することができます。扱い方が難しく、熟練の技が必要な印刷方法です。
卓上式への名入れには、シルク印刷をおこなうメーカーが多いです。シルク印刷とは、細かい穴の開いた「孔版」と呼ばれる版を使い、その裏側からインクを滲み出して印刷する方法です。
またスタンド部分への印刷には「箔押し」が利用されています。箔押しは、加熱した凸版で箔を印刷物に押し当て、箔のカラー材質部分のみを熱で印刷物に接着する方法で、光沢の輝きで高級感がアップします。箔押しは、贈答用のカレンダーに使われることが多いです。
印刷の特性を考えて発注する
名入れする際に気を付けなければならないのが、文字の大きさと文字数です。
名入れできる箇所が少ないカレンダーに多くの文言を入れると、文字1つ1つのサイズが小さくなり、見づらくなってしまいます。箔押しやシルク印刷などで名入れをおこなうと、画数の多い小さな文字は潰れやすくなります。
シルク印刷の場合は、インクを滲み出して印刷するため線が太くなりやすく明朝体などの細い線を含んだ書体を再現することが難しいです。そのため、シルク印刷で名入れをする場合はフォントそのものに注意が必要になります。
箔押しで名入れをする場合は、太ゴシック体を使うことは避けたほうがいいです。その理由は、箔押しの「箔を押しつける」という印刷特性上、太ゴシック体のような線の幅が狭いフォントを印刷すると箔が絡んでしまい、文字の再現性が悪くなってしまうからです。
名入れを失敗してしまわないように、対策として事前にフォントに関するルールを決めておきましょう。
(例)箔押しで8ポイント以上の明朝体を使用する、シルク印刷では6ポイント以上のゴシック体を使用する……など。
納期の確認を忘れずに…
最後に、カレンダーの納期についてお話しします。カレンダーの場合は、年末や年度変わりなどに受注が重なりやすく、予定していた納期がずれてしまう恐れがあります。そのため、注文の際に発注先にどのくらいの納期で仕上がるのかを確認しておくと安心です。