オフィスや学校などで目にすることが多い「クリアファイル」。
会社名や商品名、ロゴなどが印刷されているものは、広告としての効果も高く、紙の封筒などに代わるノベルティグッズとしても人気があります。
クリアファイルへの名入れといえば、これまでは箔を使って会社名を印刷しただけのシンプルなものが主流でしたが、最近は凝った加工をしたものが増えてきています。
その中でも人気なのが「フルカラー印刷」されたタイプです。外見が派手で視認性がぐっと高まるので、商品や会社をアピールするには最適なノベルティグッズとなっています。
それでは、クリアファイルへのフルカラー印刷の方法を紹介していきましょう。
目次
印刷には知識と経験が必要?
クリアファイルのようなプラスチック素材に印刷をおこなう場合は、素材が熱によって伸縮や変形してしまいます。
また、必要とされるインクの量、粘度、種類が違うため、素材の特性を知っておかなければなりません。そのため、通常の紙印刷とは違った知識と経験が必要になります。
クリアファイルができるまで
クリアファイルは、透明な樹脂で作られています。
一般的には、食品トレイや包装用フィルムなどにも使われている「ポリプロピレン」を素材として作られていることが多いです。
ポリプロピレンは、プラスチック素材の中でも最も軽く、断熱性や耐久性にも優れています。また、ほかの素材に比べて艶があり、燃やしても有毒ガスが発生しないのも特徴です。
このような素材から作られているクリアファイルにフルカラー印刷がされているのですが、その印刷の方法は意外と知られていません。
身近にあるクリアファイルを見てみると、端から端までしっかりと印刷されていて、綺麗な仕上がりになっているものが多いと思います。
とても複雑な技術が使われていると思われがちですが、印刷方法は意外と単純です。
それは、ロール状になったポリプロピレンシートを印刷機にセットして印刷する方法です。
印刷が終わったあと、ポリプロピレンシートを型抜きしてクリアファイルの形にすると完成です。
普段目にしているクリアファイルにそのまま印刷しているのかと思ってしまいますが、実は逆で、クリアファイルの形にする前に印刷を行なっているのです。
ちなみに、クリアファイルの形に綴じるのには熱または超音波を使います。クリアファイルの底辺についているギザギザは、綴じた時の名残です。
フルカラー印刷には「白打ち」と呼ばれる工程があります。
通常、白い紙に印刷を行なう場合には、紙の元々の色である「白」を生かして色味を表現しています。
クリアファイルの場合、元々の色が透明であるため、通常の印刷で使う青、赤、黄、黒のインクのみで印刷を行なうと、中に書類を入れた場合に中身が透けてしまいます。そこで青、赤、黄、黒に加えて、白を印刷する「白打ち」の工程が必要になります。この作業の技術によって、仕上がりに差が出てきます。
進化しているクリアファイル印刷
最近では、クリアファイルの新しい印刷方法が増えてきています。
中でもよく目にするのが「UV」印刷です。これは、インクを紫外線で瞬間的に乾かして印刷する方法です。
インクが乾くスピードが通常の印刷よりも速いことが特徴で、印刷には専用の「UVインク」を使用します。
このUVインクは、光をあてると固まる特殊な成分が含まれていて、UV光(Ultra Violet=紫外線)を照射することでインクを固める仕組みになっています。
紙にインクが転移された後は、印刷機内部の「UV光照射装置」がインクを乾燥させます。乾くまでにかかる時間は0.3~0.5秒と一瞬です。また瞬間的に固まるため、紙だけではなくクリアファイルのような非吸収性のプラスチック素材などに印刷をおこなう場合にも適した印刷方法です。
今後は、こういった印刷も増えてくると考えられます。
どこに発注すればいいのか?
オーダーメイドでフルカラー印刷をする場合の発注先は、グラビア印刷を得意とする会社であることを基準にして選ぶことをオススメします。
その理由は、印刷の元なる「版」の製造から印刷までを自社で一貫しておこなっているところであれば、知識や経験が豊富なので、細かい要望にも応えてくれる可能性が高いからです。
また、発注の際に気をつけることが一つあります。それは、印刷をおこなうクリアファイルの「質」です。
一般的に販売されているクリアファイルは、厚みが0.2mmです。これよりも薄いと、耐久性が悪く長持ちしにくくなります。加えて使い勝手も良くないため、印刷にはオススメできません。
仕上がりを考えながら印刷方法や発注先を決めれば、思い通りのクリアファイルができ上がるはずです。