洋服を買う時に、品質表示マークをチェックする人は多いはず。マークを確認することで、肌に合わない素材を使用していないか、どんな洗濯方法が適しているかが分かります。
実はマークはこれだけではありません。例えば「エコテックス規格100」もその1つ。安全性を保証するマークで、有害な物質が入っていないことを証明するというもの。一体どんなマークなのか、このコラムで詳しく紹介していきます。
世界16ヶ国に認証機関を設置
「エコテックス規格100」が誕生したのは1992年。これは欧州を中心に世界各国の試験研究機関で構成する「エコテックス国際共同体」が定めた、繊維製品の国際的な認証制度。
糸の製造からファスナーやボタンなどの付属品を含む完成品に至るまで、分析試験の結果に基づいて安全性を証明する認証システムです。厳しい基準をクリアした繊維製品だけが、エコテックスのラベルを付けることができます。ヨーロッパでは、「エコテックスラベルがついているもの」が、消費者の購買基準になっているほど、世の中に広く浸透しています。
現在、世界16ヶ国に認証機関があり、日本では一般財団法人ニッセンケン品質評価センターが2000年から認証をおこなっています。
ここでは国際的に決められた有害物質の規制値に基づき試験を実施します。法律で禁止、または規制されている物質が含まれていないことを確認するだけではなく、その他の健康を害する恐れがある物質についてもチェックしています。
「規格100」を受けるまでのステップは、
1、認証内容の決定…認証内容(対象範囲)を決めて申請資料を作成
2、審査/分析点…申請資料のチェックとサンプルの分析試験を実施
3、訪問監査…提出リストをもとに現場確認をおこなう
4、認証…書類審査、分析試験、訪問監査に合格すれば認証書が発行される
……となります。
最も基準値が高い製品分類Ⅰとは?
エコテックス規格100には、安全性のレベルに応じた次の4つの製品分類があります。
・製品分類Ⅰ:36ヶ月までの乳幼児、幼児期に触れる繊維製品(ベビー用肌着、スタイ、ロンパース、パジャマ、おむつカバー、寝具用シーツカバー、ぬいぐるみ、ベビースリングなど)
・製品分類Ⅱ:肌との接触が大きい繊維製品(下着、タイツ、Tシャツ、ブラウス、シャツ、シーツ、布団、靴下、ストッキング、ベッドリネン、タオルなど)
・製品分類Ⅲ:肌に直接触れにくい繊維製品(ジャケット、コート、ネクタイ、セーター、カーディガン、レインウエア、アウトドア用品など)
・製品分類Ⅳ:装飾用途の家具、服飾品(テーブルクロス、カーテン、絨毯、クッション、椅子張り生地、壁紙など)
製品分類ⅣからⅠへ進むにつれ、基準が厳しくなっています。例えば製品分類Ⅰの場合、乳幼児は皮膚が敏感であることを考慮して、最も厳しい基準値を設けています。さらに乳幼児が口に入れても色素が流れ出ないよう、唾液に対しても堅牢でなければいけません。
インクを対象にした認証制度も
エコテックス規格100の他にも様々な認証があります。繊維製品の生産時に使用する染料や顔料、仕上加工剤などが対象となる「ECO PASSPORT」、会社(工場)の品質管理や環境管理、労働者の安心・安全について認証する「STeP(ステップ)」、革製品を対象にした「レザースタンダード」……など。
皆さんがウエアプリントを専門店に注文する場合、「エコテックスの認証を受けた素材やインクを使っている」ことも、店選びの判断基準にしては? より安全性を高めたウエアが欲しい方は、こうしたマークをチェックしてみてください。