オリンピックで増えた筆文字の刺繍
2020年の東京オリンピックを見据え、海外のお客様向けに日本らしい刺繍を求める傾向があるようで、筆文字刺繍の作り方を聞かれる事が増えました。作り方を説明する時には、サテン縫いとタタミ縫いの中間の縫い方をお勧めしています。
刺繍データを作る時、刺繍の幅が1㎝以上ある場合はタタミ縫いを選択する傾向があります。なぜかと言うと、幅広いサテン縫いは、数㎜から1㎝位の間隔で所々針が落ちて波を打った様な刺繍になってしまうからです。
サテンとタタミの悩みを解決する中間縫い
好みもあると思いますが、サテン縫いは波打つ。しかし、タタミ縫いは仕上がりが固く、ステッチ数も増えてしまいます。そんな悩みを解決するのが中間縫いです。サテン縫いとタタミ縫いの中間縫いは、刺繍データ製作を仕事にしている人は知っていると思いますが、知らない方も意外に多いので紹介します。
挑戦してみよう! 中間縫いの設定方法
1、刺繍ソフトで、縫い方をタタミ縫いに設定する。
2、刺繍のピッチ(針落ちの長さ)を7㎜~9㎜くらいの長い設定に変更する。
以上で中間縫いの刺繍データが完成です。「え、それだけの事で?」と思う方もいらっしゃると思いますが、サテン縫いの様な柔らかくて綺麗な刺繍ができるのです。
写真の「侍」のステッチ数がどれくらいかわかりますか? サテン縫いは10,328針、タタミ縫いは12,514針、中間縫いは9,943針(今回の縫いピッチは8㎜に設定)です。
同じ刺繍データでも、ステッチの種類や設定の仕方ひとつで仕上がりが全然違ってきます。中間縫いは綺麗に、そして結果的にステッチ数も少なく仕上がります。
ちょっと拘るのが、職人気質的ミシン刺繍データ製作の面白い要素でもあると思います。中間縫いを試した事が無い方は、是非騙されたと思ってやってみて下さい。
大きな文字刺繍が得意になれば仕事の幅も広がります。サイズの大きい3D刺繍には密度を詰めて、刺繍のピッチを長くしてなど、色々と試してみて下さい。