ミシン刺繍教室を運営していると、色々な悩みを頂く事があります。
その中でも、ダントツに多いのは刺繍枠のはめ方。間違って解釈している方が多いので、注意喚起として、コラムに書いてみたいと思います。
目次
刺繍のまわりがビロビロになる謎
『ミシン刺繍をした時は綺麗に出来るのですが枠から外すと、刺繍のまわりの生地が波打った様にビロビロする』というお悩みが初心者様に大変多いです。
その原因は、ミシン販売の説明書に『布を枠にセットする方法』の中で『枠をはめ終えた時、布にゆるみがある場合、上下方向に布を引っ張り、ゆるみを取り除いて下さい』という内容の記述があります。
確かにゆるみがある場合、布を引っ張っても良いですが、加減を知らない初心者様は、力の限り布を引っ張る傾向がある事にも気が付きました。
枠はめの時、布を引っ張るにも限度というものがあります。枠はめをする時は、絶対に引っ張り過ぎない。ここがとても重要なんです。
基本、布はあまり引っ張らない
折角綺麗に作った刺繍データでも、枠をはめる時に引っ張られた布が緊張状態の上に刺繍が施されたら、枠から外した時に布が元の状態に戻ろう、戻ろうという働きが発生するので、刺繍の周りが波打つ現象が起きるんです。
枠をはめる時、接着芯は枠よりも大きめに接着し、枠をはめる時は、ストンと枠をはめ、後はしっかりと調節ネジを締める。
私は基本、布はあまり引っ張りません。そういう点に注意して枠をはめ、綺麗な刺繍データであればビリ付きの無い綺麗な刺繍を入れる事が出来ると思います。
枠のはめ方にもキホンがある
生徒様の中に、『今まで何があったの?』と思うほど、この世の憎しみを布に八つ当たりをするかの様に、力任せにビンビンと引っ張ったと思われる残念な作品を見た時は布に哀れみを感じました。
中には、布を引っ張り過ぎて枠が外れて、はめ直した事があるという方もいらっしゃいました。
そういう間違ったやり方をしている方は氷山の一角なのかもしれません。
これからミシン刺繍を検討されている方は枠のはめ方にも基本はあると知っておくと良いかと思います。
写真を参考に極端な実験をしてみました。違いを見比べてみて頂けたら文章の意味が判って頂けるかなと思います。
布を張りすぎるとどうなるのか、実験開始!
1、ネジ調節式の刺繍枠で実験します。
2、用意したのは接着芯を貼った伸縮性のあるTシャツの生地。
3、ストンと枠をはめただけの布。
4、これでもかと思う位、布を引っ張ってはめてみた布。
5、普通に枠をはめただけの刺繍は、普通に綺麗です。
6、思いっきり引っ張った状態で刺繍し、枠から外したら生地が戻ろうとして、生地が文字に寄ってきているのが判ります。
7、『実験』で解る事は、枠をはめる時は布を引っ張らない事。引っ張ると枠の外の生地も伸びてしまいます。