少子化が叫ばれている時代ですが「シックスポケット」という言葉をご存知でしょうか? 1人の子供に両親、父方、母方の祖父母の計6人の財布から経済的な援助が得られ、子供に高額商品が買い与えられることです。代表的なのがランドセル。何十万もするランドセルが売れる不思議な時代です。
実際に、普通の主婦や男性が自作したお名前ワッペンを、インターネット上で販売して、かなりの金額を稼いだという話を生徒から聞きました。その時期だけは1日14時間以上働いても時間が足りないくらい忙しいとのこと。不景気と言われる時代でも可能性のある市場だと思います。
煽っているわけではなく、ミシン刺繍業界の繁忙期と呼ばれる1月中旬頃から4月いっぱいは、学校販売(略して学販)で本職の刺繍屋さんは多忙を極めます。この時期の刺繍屋さんは個人客相手の仕事はできないことが多いため、ミシン刺繍作家さんが誕生し、隙間産業で上手に仕事を見つけています。
人気のミシン刺繍作家さんのワッペンオーダーは、1か月先、2か月先の予約となっていることも最近ではよくある話です。幼稚園や保育園では刺繍ワッペンを推奨している園もあり、入園説明会が始まりのゴングです。「早く作って欲しい」という需要を取り入れた商売だなと感心しています。
デザイン力のある人がデータ作成の技術を持てばまだまだ戦える市場だと思いますし、ミシン刺繍のノウハウを教えるための教室は全国的にも少ないので、先生になりたいと闘志を燃やす方も増えてきました。最近ではTシャツプリント関係の仕事をされている方も、ミシン刺繍機を導入し「お客様に自信を持ってミシン刺繍を勧められる様に頑張ります」とのお言葉もいただきました。
ミシン刺繍の市場以外でもOGBSでは入園入学のお名前関連事業に目を向けるのもありかなと思います。それぞれ読者の強みを活かして、シックスポケットを持っているお客様をターゲットに色々と考えると面白いのではと思いました。
最後に、お名前ワッペンでよく使われている素材を紹介します。ワッペンには熱に強いレーヨン糸で刺繍します。生地は熱に弱いポリエステルのフェルト、ポリエステルエンブクロス、ポリエステルアーバンツイールの生地が主に使われています。刺繍した布の裏は、従来の「熱接着フィルム」だけではなく、シールにもなるしアイロンワッペンにもなる「ステックオンフィルム」という素材も注目を浴びています。
写真はお名前ワッペンのサンプルです。

①お名前ワッペンは刺繍ソフトが有れば作れます。

②ガラス板の上で半田ゴテで溶かしながらカットします。レーヨンの糸は熱に強いので溶けないのです。

③フェルト生地で刺繍

④ポリエステルエンブクロスに刺繍

⑤ポリエステルアーバンツイールに刺繍

⑥カットしたのを並べてみました。