損害賠償から懲役まである? それやっちゃダメな事例【後編】

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それやっちゃダメ

損害賠償から懲役まである? それやっちゃダメな事例【前篇】に引き続き、実際にあった例や想定される「知的財産権問題」に絡んだ事例を解説していきます。

事例その4:アイドルグループの名前が入ったTシャツの注文を請けた。私設ファンクラブで販売するらしい。所属事務所の許可は取っていないが、写真もロゴも使わないなら問題ないだろう。

やっちゃだめ! 名称の経済的価値を不正に使っている

使ったのはアイドルグループの名前だけ。市販のフォントを使って自分でデザインしたのだから意匠権も肖像権も侵害していない……。しかし、この行為は違法となる可能性が高いでしょう。

そのアイドルが有名であれば、本人や所属事務所の許諾が必要となるでしょう。

肖像やロゴ(商標)でない単なる文字であっても、勝手に商品にするのは違法となる可能性が高いと言えます。アイドルの名前自体に経済的価値(パブリシティ)があるとみなされるからです。

この事例に限らず、有名人の名前を商売に利用するのは珍しくありません。

販売には至らなくても、ハンコやスタンプ、Tシャツプリントのサンプルに有名野球選手の名前や実在するプロサッカーチームのクラブ名を勝手に使う業者もあります。

こういった小さなことが訴えられて「事件」になるケースは少ないですが、訴えられていないだけで、法律に照らして違法か適法かでいえば違法となります。

基本的には彼らの経済的価値を勝手に使う不正な行為とみなされます。

また、法律違反かどうかとは別に、社会的なモラルに反しているという点でも批判の対象になるでしょう。

 

事例その5:自分が考えたTシャツのデザインが秀逸。サンプルとして店のサイトにアップしたいけどパクられたくない。意匠登録も何もしてないけど、®マークを付けとけば予防になる?

やっちゃだめ! 虚偽表示として刑罰の対象になる

著作権を表す©マークが日本では特に有効性が無いことはコラム「著作権とは何か? 登録不要で部分的に売買もできる」で述べた通りです。

©マークは、ベルヌ条約に加盟していない国で著作権を主張するためのマークであり、日本は条約加盟国だからです。

また、マークではなく「Copyright」と表示したり、「All Rights Reserved」(全ての権利を保有するという意味)と記述することもありますが、これも©マークの意味を知らない人向けの補足説明で、法的な意味はありません。

では、自分の商標やデザインをどうやって守ればいいのでしょうか?

基本的には商標権などを登録・出願するのですが、そういった面倒な手続きを待たず、簡単にマークを付けて自分の権利は主張できない……と考える人が使いがちなのが®マークです。

®マークは商標登録済みの商標であることを意味するRegistered Trademark(登録商標)の頭文字を表しています。

実は、®マークは日本の商標法に基づく商標登録表示ではなく、アメリカの商標法上で規定されたもの。

日本では登録商標に®マークをつけることは義務付けられていません。ただし、日本の場合は「登録○○号商標」等の表示をすることが努力義務として定められています。

つまり、日本では®マークを付けても付けなくてもあまり関係ないということです。

しかし、だからといって何にでも適当につけていいワケではありません。

商標登録していない商標に®マークをつけたり、商標が出願中などで登録されていないのにもかかわらず®マークを表示すると、虚偽表示として刑罰の対象となります。

®マークが登録済みの商標であることに対し、「TM」マークはTradeMarkの略で、「商標」であることを意味しています。

その商標が登録されていなくても表示することができます。商品名に付ける場合が多いようです。

また、「SM」マークはServicesMarkの略で、サービス(役務)名につけることが多いです。将来的に商標登録する予定がある商品、サービスにつける場合や、すでにその名称で業務をおこなっていることをアピールする場合に使われています。

ちなみに、勝手にTMマーク、SMマークを付けても、罰せられることはありません。

 

サイトに無断掲載はダメ

 

事例その6:お客の注文で作ったTシャツのデザインが気に入って、パソコンに残っていたデータで無断で印刷しサンプルとして店に飾った。そのまま売るつもりはないけど、これってアウト?

やっちゃダメ! お客のデザインなら著作権侵害そうでなくても許可は必要

まず、そのTシャツの著作権者がお客である場合。つまり、お客が自分でTシャツの絵柄をデザインしてそのデータを店に渡し、店はプリントしただけというケース。

これは明らかに著作権侵害(著作権者に無断で複製し、本来の用途以外で許可を得ずに公表している)にあたるのでアウトです。

では、お客のラフ画や口頭での要望を元に店がデザインした場合ならどうでしょう?

店が作ったデザインなら問題はないように思えるます、違法かどうかとは別にクレームに繋がる恐れがあるので、やはり止めた方がいいでしょう。

お客の中には、どの店で作ったか知られたくない、自分だけのオンリーワン作品だと友人に自慢したい人もいるでしょう。

なのにそれが店に飾られていては誤解が生じます。つまり、法律うんぬんよりも感情的な問題なのです。「良いデザインなので使わせて下さい」と一言承諾をとっておきましょう。

オリジナルグッズを注文する時、作る時には、大なり小なりこうした知的財産に関わってきます。正しい知識を身につけて、健全なオリジナルグッズの世界を楽しんでください。

記者プロフィール

記者1号
記者1号
ハンコとスタンプの専門雑誌「現代印章」と、オリジナルグッズを作る業者向け専門誌「OGBSマガジン」の記者。日本全国どこでも現れる。オリジナルグッズを作りたいと考えている人に役立つ知識を紹介するため、日々邁進中。趣味は寺社・仏閣めぐり。