「編集長、ええんですか、アタシで?」。
ビールを呑むしか特技のない、起業2年目のアラフィフ女に連載依頼だなんて。
不安を抱きながらも「ま、ビール代になってタダでお買い物できちゃうなんてええ仕事やん」と大阪ラテン気質でお受けすることにしました秋吉純子です。
連載第1回目は住所印(スタンプ)を買ってみます。昨年、新事務所を借りて引越しが決まった所だったのですぐにも必要なんです。
今、使っているのはレゴのように社名、住所、電話番号の3つをスタックするタイプで(正式な商品名が分からず、これが後で苦労する)、名前以外の2つを買い替えることに決定。
目次
分割印?組み合わせ印?組み換え式印鑑?……前に買った時、なんて名前で買ったんやろ?
現実店のハンコ屋さんなんてどこにあるか知らないので、インターネットで検索開始です。
本業はネットショップを運営しているので検索は日常茶飯事。
しかしです。ここでパソコンを打つ手がピタッと止まってしまいました。「あれ、前に買った時、なんて名前で買ったんやろ?」。
検索は得意でもキーワードがわからなければ探せません。そこで必殺技、画像検索の登場です。
グーグルの検索窓にキーワードを入れ[画像]ボタンを押すだけでそのワードに当てはまる画像が一覧で出てくる。
これならある程度ふんわりとしたワードを入れてもそれらしき画像が表示され、ページに辿り着くことができるのです。
気を取り直して[会社 はんこ]で検索開始です。
角印や実印だらけの中、ついに発見! 「ふっ……楽勝やん」。と思ったのも束の間。
木製なのでうちのプラスチック製にはセットできません。
他にそれらしき商品も見つからず、仕方なく最初に見つけた木製の画像をクリックしてみました。
明らかに違う商品ですが、サイトに飛べば関連商品として載っているかもしれません。
しかし、全くもって見つからず。徒労に終わるかと思ったそんな時、大ヒント発見。画像の下に小さく[親子ゴム印]と書かれているではありませんか。
「おおお。ベタやけどなんか商品が想像できる名前やん!」。早速、[親子ゴム印]で再検索したら即発見です。
目的は[領収証の発行]。浸透印タイプのバンバン押せるハンコのが便利に決まってる!
ところが、そのページを見てショック。「えらい高いやん!」思わず声が出ました。
住所と電話番号の2つで約3000円。「なんで!? わざわざスタンプ付けて押すハンコだから安いと思ってたのに!」。
高いとわかったら、最初からインクがついてバンバン押せるタイプ(後で編集長に聞いたら『浸透印』って言うらしい。知るか!)に買い替えた方が便利に決まってます。
しかし今度は[親子ゴム印]での検索ワードが使えない。
どう探せばいいか途方に暮れ、[会社 はんこ スタンプ]ベタなワードで検索すると、これがなんと一発ヒット!
出てきた画像をクリックしてページに移動すると、「そうそう。これこれ」値段も手頃で悪くありません。
でも、ページの情報量が少なすぎてどんな商品かよく分からん。分かったことはたった1つ。ブラザー製であることだけ。
そうとわかれば次は楽天市場に行き、[ブラザー はんこ]で検索だ!
領収書に捺す住所印のレイアウトやサイズって、定番はないの?
楽天市場は競合が多いのでくどいぐらいページに説明のあるお店が多く、情報収集にはうってつけなんです。
ハイ、目的のハンコ発見です。もう買うしかないでしょうの勢いで商品ページにジャンプ!
……なのになんでしょうか、このテンションの下がる感じ。あんなに探していたのに全然欲しくならないのです。
たまたま入ったこのお店のせいかと別のお店も見てみましたが、どこもハンコの説明がほとんどないのです。
よーく見ると確かにハンコのサイズが書いてある。靴なら25㎝と書いてあれば自分が履く靴のサイズを想像して購入できます。
でも、ハンコでセンチ表示されて「そうそう、欲しかったサイズやわ」って迷いなく買える人っている?
アタシのハンコ購入の目的は[領収証の発行]。
刑事ドラマみたいにタバコを置けとは言いませんけど、もうちょっとサイズ感が分かるように、例えば領収証にハンコを捺してみた画像を載せるとか工夫してもええんちゃう?
……とぼやきながら手元のハンコを定規で採寸しました。
6・1㎝……イラッとするわぁ、何で6㎝じゃないの?
で、サイトで近いサイズの商品を選びましたが、これまた印面67・0×23・5㎜って、なんでそんな微妙なサイズなの!?
さらに、ここからが面倒くさい。書体を選べと言われても、ハンコに書体の違いを求めたことがないから、どれを選べばいいやら。
「オススメ」とか、「領収証ならコレ」と勧めてくれればいいのに……って思いながらなんとなく明朝体を選択。
レイアウトは[お任せ]しかなく、しかも出来上がりが確認できないとのこと。
「変なレイアウトで出来てきたらどうしよう」と不安になったけど「領収証だし、ま、いいか」と承諾して購入終了……なんか疲れたワ。
毎日を5分便利にしてくれる可能性
4日後、商品が到着しました。もっと時間がかかるかと思っていたので早さに驚きです。
ウキウキと封を空けた第一印象は「デカっ!」。印面よりはるかに大きなサイズ。
「領収証からはみ出すのでは?」と不安になる大きさ。
でも、使いもせず文句はアカンやろと試し捺しをしようとしたのですが……いくらやっても蓋が取れません。
「おいおい、不良品か?」と疑いながら、折れそうなほど爪を立て力まかせに引っ張るもビクともしない。
手も心もほとほと疲れ果て「さてと、クレームのメールでも打つか」と思った時、目に飛び込んできました。
下向きに表示された三角形のマークが!
ええええ!? 「おそらくこれが蓋だろう」という勝手な推測の元、蓋でも何でもないデザイン的に段差がついている箇所を力任せに引っ張り続け、分解寸前だったようです。
「怖いワ……思い込みって」と呟きながら「それなら、三角マークの所に『この下を引っ張って開けてね』ってシール貼ってくれたらええのに。不親切やわ」と、恥ずかしさをごまかすために悪態づいてしまいましたが、捺してみると「あら楽チン」。
インクを付ける手間がないのでストレスフリーでガンガンハンコがつけるのです。
なーんや、こんなことならもっと早く買い替えればよかった。
レイアウトもそれほど気にならないし、値段もそこそこで、買い替えて大正解でした。
ハンコって仕事で使う頻度が高い割に表舞台に出てこないし、使い勝手が劇的に便利になるって印象がない日陰の商品かもしれないけど、毎日を5分便利にしてくれる可能性を秘めた大器晩成タイプに間違いなし。