食べられる名刺ってどんなもの?

秋吉純子秋吉純子

最近めっきり出不精になり、勉強会やセミナーなどもとんとご無沙汰。会う人すべてに名刺片手に挨拶しまくり、あっと言う間に名刺がなくなっていた、あの熱心さはどこに行ってしまったんだろう。

とはいえ、近頃は自分で名刺を配ることも、もらうことも少なくなった。もらったとしても名刺管理ソフトに読み込んだら「ゴメンネ」と言いながら速攻でシュレッダーしている。

残り少なくなった名刺を眺めながら、

「あー。たぶんアタシの名刺もこんな目に遭っているんやろうな。もう名刺いらんよな。やっぱり追加で頼むのやめよっかな」と悩んでいたところ、ピーンとひらめいてしまったのです。

「そーやん。人に捨てられへん名刺を作ったらええんやん」と。どんなにデザインが凝っていても格好良くとも紙ならスキャナーされて、ハイ終わり。じゃ紙じゃない名刺にすればいいんやと。アタシ天才すぎる。一人やけにテンション高くなりながら、そのままズバリ「紙じゃない名刺」と入力してネットで大捜索することにしました。

ビーフジャーキーとか魚肉シートに印刷する!

おお。ユニークな名刺がいろいろ出てきました。紙製ですが、飛び出す名刺。お坊さんが1枚1枚手書きしたお守り名刺。紙じゃなく変わった素材では木に刻印されたものなど。

そしてなにこれ!? クッキーに印刷された名刺やって! ええやん。渡したらめっちゃ驚かれるやん。でもなんとこれ、版代が500円かかる上に1枚200円って! アカン予算オーバや。しかもクッキー名刺だと持ち運びにかさばり、おまけに取り出したら粉々に割れてそう。

でも、食べられる名刺はいいかも。食べられて、もっと安くて持ち運びしやすい名刺ってないんかな?

そこで次は「食べられる名刺」のキーワードで画像検索してみることに。

クッキー画像だらけの中に、うひひひ。見つけてしまいました。ウケること間違いなし! ビーフジャーキにレーザー刻印された名刺を! 画像で見る限りリーバイスのタグが肉色になったような風合いがめちゃいいのですが、残念。海外のサイトのようで今は閉店しているようです。

やっぱりカバンからジャーキー臭が漂うのがネックやったんかな。

さらに他の商品を探していくと、手頃で安くて持ち運びに便利! ゴルファーの渋野日向子さんが大好物と言って品切れになった駄菓子屋で売られている魚肉シート(鱈のすり身をのしたシート)に印刷された名刺を発見!

これはいい。ペラペラだから本当に名刺代わりに使えるやん。

速攻でサイトに飛び内容を吟味してみることに。

魚肉シートに可食インクで印刷するらしく、自分で作成したデータはもちろん、画像とメッセージを送ればお店側でフレームなどにレイアウトしたデザインも作ってくれるらしい。

データで入稿しても、店側で作ってもらってもデータ作成費が1000円かかることにちょっと不満は残りますが、28枚も作って版代以外は840円。1枚30円、版代を足しても1枚65円なら、クッキー200円を思えばめっちゃいいやん! と張り切って注文です。

注文後に届くメールにデータを添付すると、翌日には完成イメージ画像が届き、返信すると作成スタート。注文から8日ほどで商品が到着するスピーディーさが素晴らしい。

ハガキからB4サイズ!? 魚肉印刷イイね!

ウキウキと箱を開けるとおおっ。生成りがかった魚肉シートの上に、なかなかきれいに発色しているじゃないですか。

地の色は落ち着いた生成り色(魚肉シートだから当たり前ですが)。なかなかきれいな発色でプリントされていて大満足です。名刺部分の文字も小さいながらちゃんと読めて、最近のインクジェットプリンターの技術は凄いなーと感心しました。
もちろん、1枚ずつ個包装されています。素手で渡すわけにはいかないから当然です。スナックや酒屋さんのショップカードにすると、受けること間違いなしやね。

今年で9年目を迎えるメッセージと似顔絵はいい感じでプリントされていますが、肝心の名刺部分は文字がかなり小さく、老眼には少々厳しい仕上がりに。

ま、老眼鏡をかけると「あら細かいわりに綺麗やん!」と思うのでOK、大満足です。

品質表示のシールもちゃんと貼られているので安心。名刺交換の前に「卵とかカニとかにアレルギーあります?」って謎の質問しないといけないけど。あと、賞味期限があるのでガシガシ営業に出かけること!

もう嬉しくって早く配りたくて仕方がないのですが、あいにく名刺を配るような場がなく、ひとまず行きつけの飲み屋の大将に渡したところ、
「へぇ。面白いやん。誰にもらったかは覚えてないやろうけど、食べられる名刺をくれた人っていう記憶には残るわな」と感想を述べながら一口で食べられてしまいました。

いやいや、もう少し味わって欲しいわ。魚肉シートだけに……。

これ、一度版を作ると以降は魚肉シート代だけでいいからお得かも。

周年の日付だけ刷り変えして毎年つくろうかなと思いお店に問い合わせしたところ、衝撃の事実が。

数字をすり替えるだけでも新たな版代が必要とのこと。いやいや、絶対いらんやろ。加食インクのプリントやから、普通のインクジェットのプリンターだろうし。もしかして版で儲けるカラクリ?

いじわる心でいっぱいなアタシ、商品ページを今一度見に行き、どのようにしてこの食べられる名刺が印刷されているかが紹介されている動画をガン見してみた。

B4サイズらしき魚肉シートに縦横3デザインずつ合計9枚印刷している。他のページを見るにこのデザインはハガキサイズのよう。ということはアタシが今回買った名刺サイズ28枚入りで計算すると1度に12枚印刷ができ、2シートちょっとで作成できる感じ。

駄菓子屋で8円のもんに1000円の版代をオン

同じ様なB4魚肉シートは見つけられなかったけど、名刺サイズに近いマヨネーズ付の魚肉シートが60枚入りで480円(税別)というのを発見。

卸ではなく店売り単価だが1枚8円計算となり、28枚で原材料費が224円となる。

これに印刷・梱包・製造内容シールやお客さんとのメールでのやりとりなどを入れると、とてもじゃないけど840円では儲けなんて出るはずはない。

そう。だからこそ、インクジェット印刷であるにも関わらず、数字の刷り変えだけで版代1000円が必要だったんやと。

客観的に見るとそこまで情熱的に調べる自分に恐ろしさすら感じますが、これたぶん他のお客さんでも「え、また版代いるん」と感じるんじゃないかなー。

とはいえ、駄菓子屋さんが1枚8円で売って、なんぼ利益があるかわからん商品をプリントするだけで粗利7割近い儲けにしてしまうなんてすごい商品。おまけに版代1000円は丸々利益だし。

とにかく食べられる名刺ってアイデアはおもしろい! 最初は「渡した相手が捨てない名刺」を求めていたのに、結局なくなるやん! ってことに今気づいた。

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記者プロフィール

秋吉純子
秋吉純子
LEDサイン販売会社に在職中、飲食・物販など300にのぼる業種へ取材訪問して販促を実施。その後、マーケティング会社でマイカル系GMSの新店舗出店前調査や、アイデア雑貨メーカーで企画開発、ネット事業を担当。女性目線で消費者の生の意見を吸い上げ、商品開発や既存商品の改革など行なってきた。現在は、ホールインワンの記念品販売サイト「アーカイブプラス」を運営。一般社団法人イーコマース事業協会・元副会長。趣味は廃墟・工場めぐり、ビール、サイクリング。モットー「酒は世界の共通語」。 http://www.holeinone-golf.net/