本気で今回の連載を最後にやめさせてもらおうかと思うほど過酷な取材でした。
ことの始まりはアタシが師匠と仰ぐブランディングを教える先生が開催した勉強会の後の懇親会場でした。
みんなから懇親会費を集め精算したところ、なぜか数千円お釣りが出たのです。
計算を手伝ってくれていた友人がいい考えがあると、カバンから封筒を取り出しました。そこにお釣りを入れ「先生。今日は無料で勉強会を開催してくれありがとうございました。懇親会費の残りではありますが、これを講師代としてお納めください」と、封筒を手渡したのです。
たかだか数千円とはいえ、講師費などもらえるとは思っていなかった先生は驚き、その心意気にいたく感動していました。
先生のハートを射止めた封筒を何気に見ると【ココロバカリ】の文字が。なんとも洒落ているではありませんか。
「いつもこんな封筒持ち歩いてるの?」と友人に尋ねると、
「勉強会の参加費や会の立替金など、現金をやりとりすることって結構多くて、そんな時に現金をそのまま渡すより、こんな封筒に入れたほうが丁寧って感じで気に入ってるねん」と言いやがるのです。
酔ってベロベロなイメージしかない友が、5000倍ぐらい粋な大人に見えます! かっこよすぎです。これは速攻でマネるしかありません。
かと言って、同じ封筒では面白くないので、アタシオリジナル封筒を作り「よっ! 粋だね」と言われる大人になろうと心に決めました。
100枚で6250円!? 名刺製作とは勝手が違う
しかしここからが地獄の始まりだったのです。
まず、この封筒をなんという名前で調べればいいのかがわかりません。
大入り袋? 祝儀袋? それともポチ袋?
ネットで調べるとポチ袋がそれっぽいので、【ポチ袋 オリジナル】で検索。
ところが、ヒットしたお店のホームページのどこにもポチ袋が見つからず、電話して尋ねると【のし袋】という商品がアタシの探す【ポチ袋】に該当するとのこと。
商品一覧から確認すると、はい! 確かに! のし袋大こそがアタシが求める商品に間違いありません。100枚からオリジナル印刷可能なので、このお店に決め、データ作成用のテンプレートをダウンロードして、デザイン開始です。
ポチ袋によく書いてある【ありがとう】【感謝】【ほんのきもち】よりも、友人の封筒にあった【ココロバカリ】のカタカナがかっこいいかも。
記号のように見えて押し付けがましさがなくていいワ。
キャラクターがお礼を言っている風にしたいので、マイブーム中のプロレスラーを配置。ちょっとかわったデザインの水引と、フタ部分にボーダーをレイアウトして完成です。
自分好みのデザインにご満悦で入稿を進めていくと、「オフセット印刷なので印刷する色数と色を選べ」と言われました(おや。アタシが普段、カラーで名刺を作っているのとは勝手が違う気がする)。
印刷に詳しくないアタシでもその雰囲気を嗅ぎ取り、ネットで調べてオフセット印刷とオンデマンド印刷の違いを知りました。
どうやらこのお店はオフセット印刷で、色数が増えると値段が上がるみたい。どっちの印刷手法でもええから、このデザインでポチ袋を作ってくれたらええねん。
金髪で紫のパンツを履いたプロレスラーと、赤と金色っぽい色でデザインされた水引。
他のお店を探し直すのも面倒だから凝ったデザインは諦めて1色だけで作っちゃおう! と1色印刷を選んでみると100枚で6250円の表示が。
1色にまで譲歩したのにこんな金額ムリと速攻で別のお店を探すことにしました。
しかーし、オンデマンド印刷でポチ袋を作ってくれる店を目が痛くなるぐらい死にもの狂いで探しましたが、まったく見つかりません。
言葉を変えて検索しても、どうにも見つからないのです。
数件の印刷屋さんに電話で問い合わせても、札が折らずに入る90×180㎜のポチ袋(のし袋)サイズだと機械に通らないのでオフセットしか無理と断られたり、そもそも扱いがないと言われる始末。
のし袋にオリジナル印刷できる印刷屋が無い?
さすがにこのままでは企画倒れでヤバイと感じ編集長に相談したら、無地ののし袋が入手困難で、オリジナル印刷を受ける印刷屋さんがほぼ皆無なようなのです。
そして「妥協してほぼ同じサイズの長4封筒にすれば? 赤枠付きになるけど」というアドバイスをもらうも、長4封筒(90×205㎜)てサイズ感が全然違うし、赤枠って郵便番号を記載する赤い7つの枠のことやん。
そんなダサいポチ袋を編集長は自分でホンマに使うんやな!? 3万円の会費をそれに入れて堂々と持っていけるんやな!? なんの罪もない編集長に逆ギレし、作成を100%断念しかけたその時、救いの手が。
編集長が知り合いの業者に手を回し、白紙ののし袋を仕入れさせ、オリジナルデザインでオフセット印刷できるように手配してくれたのです! ありがたいー。
なんと、紹介されたのは印刷屋ではなくハンコ屋さん。早速、メールで入稿し、待つこと4日。特急仕上げのポチ袋が到着です。
今回、まさかこんなに苦戦するとは夢にも思いませんでした。
なんでも、のし袋を扱っているメーカーが限られている上に高額で印刷業界での流通が少ない。
なのでいつ来るか不明な注文のために高いのし袋の在庫なんて持てず、ましてや印刷ミスが出たら自己負担のリスクがあるので請けたくないという大人の事情も垣間見えました。
だからなのか、最近では100円ショップなどでもお正月前だけでなく常設されてたり、付箋にのしを印刷した商品があったりと用途は広がってきているみたい。
「ポチ袋」か「のし袋」か探せるようにして欲しい!
でも、今回一番やっかいだったのは呼名が【ポチ袋】なのか【のし袋】なのかってことでした。
のし袋でネット検索すると結婚式に持参するようなのが出てきてイメージと違うし、ポチ袋だとイメージに近い画像は出てくるけど、印刷屋さんを探すとヒットしませんでした。
業界特有の言い回しかもしれないけど、一個人のお客さんにも探せるようにして欲しいワ。ま、その前に印刷できるようにがんばってもらわんとアカンけど。