アマビエスタンプを注文してみた

秋吉純子秋吉純子

「マスクに捺すスタンプはどう?」

ネタに困っていると編集長がアドバイスをくれた。え、それって「ただの花粉症です」とか「この咳うつりません」とかってやつ?

あんま興味ないなーと、難クセをつけながらネットで「マスク スタンプ」と検索していると、「アマビエチャレンジ」とやらがヒットしてきた。

疫病よけの伝説がある江戸時代の妖怪「アマビエ」の絵をSNSに投稿して新型コロナの収束を願うというものらしい。そういえば、デザイナーの友人がアマビエTシャツを着て「作ってみました♡」とSNSにアップしていた記憶が。

そうや! その友人が描いたアマビエでスタンプを作ってプレゼントしたら喜んでくれそう♪ 今回はそれで行こう! そうと決まったら、さっき編集長が教えてくれたスタンプ屋さんに注文や!

データ作成で3年ぶりに懐かしの再会

友人が自慢していたイラストを入手し、お店のURLからオリジナルスタンプが作れるページを探して注文しようと進むと……。あれ? データの入稿ができない?

よくよく見るとこのサイトだけでデータ入稿は完結できず、専用のOSMOというアプリをスマホにダウンロードして、データを作成してからでないと注文が出来ないようなのです。

「えー。めっちゃ面倒くさい。もうやめよっかな」。

投げ出しそうになったけど、インク内蔵式のオリジナルスタンプが作れるのは、これしか見つからないのです。仕方なくアプリをダウンロードし、スマホからデータを作成することにしました。

そしてその時に気がついたのです。このOSMOというアプリ、2017年の第20回目の連載時に作成した店舗に設置されたスタンプ機と同じということに。久しぶりの友人に出会ったような懐かしい気持ちになりながらアプリを開きデータ作成開始です。

「写真を使って作成」を選び、スマホに保存したアマビエ画像を選んで決定ボタンを押すと、画像データを自動でカラーからモノクロに変換してくれました。

その後、決定→送信と進むと受付№が発行され、完了ボタンを押します。すると、なぜかスタート画面に戻ってしまいました。どうやらこのアプリからは買い物ができないようです。先程のスタンプ屋さんのページにアクセスして、値段を再確認し、受付№を入力してお買い物完了。あとはスタンプの到着を待ちます。

新型コロナの影響で商品が受け取れない!?

しかしながら新型コロナ真っ只中。お店は早々に日本郵便のゆうパックで商品発送してくれたのですが、テレワークで週2回しか事務所におらず、再配達を頼むもタイミングが合わなくて受け取れず、保管期限ギリギリでようやく無事受け取り完了です。

「日本郵便! 再配達が翌日からしか受け付けへんってなんやねん。ヤマト運輸も佐川急便もめっちゃ働いてるねんからお前も本気で働け」と暴言を吐いてしまいました。

箱から出てきたスタンプは想像よりも大きく、捺すとかなりのインパクト! おおー。迫力あるなーという感じです。

でも、ちょっと待てよ。このアマビエ、カラダの鱗も髪の毛のラインも、ピンクのインクで潰れてまったく表現できていないのです。何度捺してみても結果は同じ。強く捺しても弱く捺しても、きれいにスタンプできないのです。

デザイナーの友人が描いたアマビエのイラスト。これをスタンプにしてプレゼントすれば喜んでもらえるはず!

 

前回の連載の時に機械で作ったのはもっとキレイだったのに。鱗があるから大きいほうがキレイだろうとわざわざ5㎝大のものを選んだのに、この仕上がりではどうしてもOKとは言えません。

自分のものだったら「ま、ええか」と言えても、デザイナーの友人が自身で手掛けたイラストのスタンプ、最高の仕上がりのものをプレゼントして喜ばせたいのです。

お店に電話して丁重に事情を説明し、試し捺ししたスタンプを撮影してメールで送りました。たまたま電話に出た方がOSMOから届いたうちのデータをスタンプに加工してくれた担当者で、
「アマビエが可愛く、デザインが凝っていたので覚えています。調べてメーカーに連絡して相談します」と神対応してくれたのです。

そこから1時間30分ぐらいするとメールが届き、
「今回の画像を作る時に疫病退散の文字の辺りの波模様を表現するために画像を濃くして作成したことを思い出しました。今回は標準で作成をしましたが疫病退散の辺りの波模様は薄くて出ない。試しに6回ほど捺した画像を送るのでこちらでよかったら作り直して送り直します」と書かれています。

5㎝角の印影はインパクト大! 写真左が最初に届いたスタンプの印影。何度試しても綺麗に捺せず、アマビエの顔もピンクになってしまっている。写真右が作り直してもらったスタンプの印影。鱗や髪の毛のラインも綺麗に表現されている。

 

添付画像を見ると鱗も髪の毛のラインも見事に表現されているじゃありませんか! パーフェクトです。

OKの連絡と自宅で受け取れるように自宅住所をメールすると、
「ご迷惑をおかけして申し訳ありません。お手数をかけますが手元のスタンプは処分してほしい」という旨のメールが返信されてきました。

どこを綺麗に表現するかで仕上がりが全然違う!

もしかして、これってアタシのワガママなお願いじゃなかったってこと? ま、どちらにしてもお店の方の対応は素晴らしくて怒るところなどまったくなく、キレイなスタンプが手元にさえ届けば、なんの問題もないのです。

そして早くも、2日後には自宅に作り直しされたスタンプが到着です。ドキドキしながら捺すと、まーキレイな印影♡ 前回の仕上がりとは雲泥の差です。「疫病退散」の文字もクッキリしています。

どこでこんなに仕上がりに違いが出るんだろうと、2つのスタンプの印面をマジマジと見比べましたが、素人のアタシにはまったく同じにしか見えません。

でもお店の人が言っていた「捺した際にどこをキレイに表現するか」の焦点の当て方1つで、こんなに仕上がりに違いが出ることにビックリです。

というか、よくよく考えると「なんでアマビエでなく背景の波模様に重きを置いたの?」という疑問が残りますが、それは店員さんの神対応のおかげで問題なし。

機械でちょちょっと作っていると思っていたスタンプが、人の手での加工が入っていると知り得た貴重な体験でした。
友達、喜んでくれるかな。早く送ってあげよっと。

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記者プロフィール

秋吉純子
秋吉純子
LEDサイン販売会社に在職中、飲食・物販など300にのぼる業種へ取材訪問して販促を実施。その後、マーケティング会社でマイカル系GMSの新店舗出店前調査や、アイデア雑貨メーカーで企画開発、ネット事業を担当。女性目線で消費者の生の意見を吸い上げ、商品開発や既存商品の改革など行なってきた。現在は、ホールインワンの記念品販売サイト「アーカイブプラス」を運営。一般社団法人イーコマース事業協会・元副会長。趣味は廃墟・工場めぐり、ビール、サイクリング。モットー「酒は世界の共通語」。 http://www.holeinone-golf.net/