宅配便の受け取りや仕事の書類に確認のために捺す「スタンプ」。
このスタンプには、大きく3つの種類があるって知っていましたか?
連続で大量に捺すなら「ゴム印」、スタンプ台が無くても捺せる「浸透印」、朱肉を使える「感光性樹脂印」。それぞれに特徴があり、用途も大きく違います。それでは、この3つのスタンプについて詳しく説明していきましょう。
目次
シャチハタは浸透印? スタンプ台がいらない便利なスタンプ
まず最初にご紹介するのが「浸透印」。しんとういん、と読みます。一般的には「シャチハタ」の名前で通っていますが、実は「シャチハタ」はメーカー名。「浸透印」という名称は、この製品の総称なのです。
印面にインクが浸透して捺印することから「浸透印」と呼ばれるようになりました。インクそのものを本体内部に含んでいるため、スタンプ台を使わずに連続で何回も捺すことができます。外回り営業なのでスタンプを使う人は、スタンプ台不要の「浸透印」を使うと便利でしょう。
本体内部のインクは、印面の裏から供給されるか、印面そのものにインクを含ませておくかの2タイプが主流です。
これによってスタンプ台不要で連続捺印できますが、事務仕事でハードに使う人は1分間に数十回も捺印します。すると、印面へのインク供給が間に合わず、回数が増えるに従って印影が薄れてしまいます。
濃い印影を得るには、印面にインクを補給するか、インクが裏側から供給されるまでしばらく放置しておくしかありません。
浸透印には印面に凹凸のあるタイプと、表面が平らなタイプの2種類があります。
大量に、連続で捺す時に重宝する「ゴム印」
ゴム印はその名の通り、ゴムを使って作られたスタンプです。最も多く使われている捺印具と言っていいでしょう。
歴史も古く、日本では明治時代にまで遡ります。ゴム印は天然ゴムなどに添加物を入れて練り上げたものを原料としていて、「赤ゴム」と耐油性の「黒ゴム」に大別できます。
ゴム印は浸透印と違って、捺すたびに印面にインクを付ける必要があります。短時間に大量の捺印をするユーザーにはゴム印の方が使いやすいでしょう。一方、1日に数十回しか捺さない人なら浸透印の方が便利に使えるはずです。
使用するスタンプ台についても考える必要があります。
一般的な赤ゴムにスタンプ台ではなく朱肉を使うと、印面のゴムが劣化する場合があるからです。朱肉を使いたいなら赤ゴムではなく耐油性のある黒ゴムを選びましょう。
半透明でエコなスタンプ「感光性樹脂印」
「感光性樹脂印」とは、紫外線を当てると硬化する性質を持つ特殊な感光性樹脂や合成樹脂で印面を作ったスタンプのことです。ゴム印と混同されることが多いようですが、ゴムと樹脂では製法や性質が違います。黒ゴムと同様、油に強いので朱肉にも使えるのが特徴です。
感光性樹脂印は半透明のものが多く、厳密に言えば「樹脂」ではなく、種類によってゴムやポリなどが使われている場合もあります。
しかし、ハンコの業界では半透明のスタンプを、まとめて「感光性樹脂印」と呼んでいます。
製造時に廃棄物が少ないため、「エコなスタンプ」として注目を集めています。
感光性樹脂印には「液状タイプ」と「板状タイプ」の2種類がありますが、これは製造方法の違いによるもので、製品そのものの使い勝手などは同じです。
海外では当たり前? 「セルフインカー」とは
ゴム印のように連続捺印できて、しかもスタンプ台不要という夢のようなスタンプがあります。それが「セルフインカー」です。
握り部分を押し込むことで、内部にあった印面が半回転してせり出し、捺印できるというもの。
握り部分の内部にスタンプ台が入っており、常に印面がスタンプ台に触れていることから、連続で捺印しても濃く綺麗な印影を得ることができます。
自分でインクを供給する姿から、「セルフ」の名がついたようです。
とても便利なセルフインカーですが、握り部分にスタンプ台が内蔵されていたり、印面が半回転する複雑な機構が搭載されているので、浸透印や一般的な台木を使ったゴム印、感光性樹脂印に比べるとサイズが大きくなってしまいます。
また、捺すときに握り部分を毎回押し込まなければならないので、動作が大きくなります。
海外では「セルフインカー」は当たり前に使われています。空港の入国審査などで、パスポートなどに「ガチャン」と捺すのに「セルフインカー」が使われていることも。むしろ、スタンプと言えばセルフインカーと言うほど普及しているんです。日本との文化の違いでしょう。