伝統的なものから新素材まで・・・広がり続ける「印材」の世界
ハンコに用いられる材料で、一般的によく知られているのが、象牙や黒水牛などです。
これらを専門のメーカーが特殊な加工を施し、ハンコの形状にしたものを「印材」と呼びます。
この印材に印面を彫刻することで、はじめて「ハンコ」「印章」となります。
印材は次の通り、大きく5つのカテゴリに分けられます。
・動物系印材
・木質系印材
・石系印材
・金属系印材
・合成樹脂系印材
またさらにそれぞれを、伝統的に使われてきた素材の「伝統的印材」、最近になって登場した素材の「新印材」、ハンコにファッション性や手軽さを取り入れた「カジュアル印材」の3つに分類できます。
・伝統的印材
古来より印材として使われている伝統的なもの。それだけハンコに適している素材と言えます。中でも象牙、黒水牛、牛角、ツゲ(柘)は定番中の定番で、現在も人気が高いです。
水晶はかつて山梨県で採掘されたものを印材として使用していたが、近年は海外製が主流となっています。以前は水晶を鏨(たがね)で彫るなど専門の職人によって彫刻されていましたが、現在その技術を持つ職人はほとんどいません。
・新印材
1980年代以降、象牙や天然木の資源不足対策などで新しく開発された印材です。近年では耐久性や高級感のあるチタンやアルミなどの金属印が男性を中心に人気を集めています。石印材はラピスラズリやローズクオーツなどが「宝石印」と呼ばれており、こちらは女性に人気があります。
・カジュアル印材
近年急速に伸びている、ファッション性や手軽さを取り入れた印材。合成樹脂系印材の中に含まれる。アクリル樹脂などが多く、色や柄が豊富に揃っているのが特徴です。比較的安価なので、プレゼント用や、家族でお揃いにするなどで複数本をまとめて購入する人も多いそうです。
ここでは、カテゴリごとにそれぞれの印材を見ていきましょう。
意外と知らない?ハンコの素材はこんなにあった!
【動物系印材】
主に動物の角や牙を用いた印材です。耐久性、捺印性、印影の美しさに優れるハンコの最高級印材「象牙」や、漆黒の艶が美しくビジネス用にも人気の「黒水牛」、飴色が美しく女性にも人気の「牛角」などがあります。
・伝統的印材
象牙、黒水牛、牛角、マッコウなど
・新印材
カバ、マンモス、シープホーンなど
【木質系印材】
ツゲなどの天然木をそのまま印材に加工したタイプと、圧縮や樹脂を含浸させてハンコに適した硬さに調節したタイプの2つがあります。硬く繊維が細かい、木材の中で最もハンコに適した「ツゲ」や、ツゲに似たリーズナブルな印材「アカネ」などあります。
・伝統的印材
ツゲ、アカネ、竹根など
・新印材
アグニ、屋久杉、彩樺など
【石系印材】
宝石本来の美しさと誕生石などのお守り的な意味合いで女性に人気の印材で「宝石印」とも呼ばれています。天然石ならではの模様が特徴の虎目石、ラピスラズリ、メノウや女性に人気のローズクオーツ(紅水晶)などがあります。
・伝統的印材
水晶、メノウ、陶器など
・新印材
人口水晶、人口ルビー、ラピスラズリ、セラミックなど
【金属系印】
その名の通り金属を素材にした印材。中でも「チタン」は、塩分や水につけても錆びることがなく、欠けにくく変形や歪みもないため近年注目を集めている。
・伝統的印材
金、銅など
・新印材
チタン、アルミ、銀、ジュラルミンなど
【合成樹脂系印材】
ポリエステルなどの化学素材を用いた印材。カゼイン(牛乳に含まれるタンパク質に酸を加えて凝固した物)が原料で人工象牙とも呼ばれる「ラクト」や、ラクトより彫りやすく欠けにくい「アクリル」などがあります。もともとは象牙やツゲなどの天然素材に替わる印材として戦後に登場しました。カラフルなものが多く、スワロフスキーでデコレーションした商品や、絵柄がプリントされたものなど様々な商品があります。
・新印材
琥珀樹脂、エブリナ、プロインなど
・カジュアル印材
おしゃれはんこ、ラメモード、ポリカラーなど
「ハンコのトレンドが知りたい!」そんな時は最寄りの印章専門店へ
以上のように印材にも様々なものがあります。
これらの印材は、消費者のニーズによって生まれ、現在もメーカーから新しいものが生まれ続けています。
最新のトレンドが気になる人は、最寄りの印章専門店へ行って聞いてみましょう。
こんなハンコがあったんだ、と新たな発見ができるかもしれませんよ。