「知り合いが美容院をオープンしたのでコースターを贈りたいんですよ」
「はぁ……?」
「どんなのがいいと思います?」
「はぁ!?」。
突然の編集長からの電話で「もう連載打ち切りかっ!」ってビビりながら電話に出て大損したワ。なんのことはない、自分で贈り物が選べないから、いい感じのを探してくれって依頼でした。アタシはアンタの嫁とちゃうぞ!
目次
全て悟った「手ごわい贈り物探し」
「自分でチャッチャと買ったらええのに。アイツ案外ヘタレやな」と毒づきながら、指示された美容院のホームページにアクセス。
すると、想像以上にカッコいい店内が表示されたのです。
鏡の前にはアンティーク調の革張り椅子。ウッディーでまるでカフェのような店内(ヤバい。この店長、絶対センスええ人や。
ここに下手な贈り物したら確実に笑われる……だからヨロシクって丸投げかっ!?)。
全てを悟って思わず呟いてしまいました。
「手強い贈り物探しになりそうや」。
編集長からの条件は、
1、予算5000円
2、店のロゴを入れる
……の2つだけ。
店のイメージからすると革のコースターやなと、早速インターネットで検索です。
【コースター オリジナル 革】で表示されたお店を上から順にガンガン見ていくことに。
想像どおりの落とし穴が待ち受けていた
1件目のお店は革へのインクジェット印刷でフルカラー対応。10枚から作成できて、版も自分でデザインすれば無料とのこと。
「悪くないやん。値段も予算内。でも、このコースターの上に水滴がいっぱいついたグラスなんか乗せるわけやろ。印刷が剥げてきたり、滲んだりせえへんのかな? あと、なーんかちょっと安っぽくみえへん? できたら革にこう、刻印されてる方が高級感があるような気がするわ」。
ってことで、ひとまずここはキープ。2件目は押し型で革にエンボス状のオリジナルマークが刻印できるお店です。有名メーカーの革使用で押し型もカッコいい!
「そうそう、これこれ! これなら絶対喜んでもらえる」。
もう買う勢いでページを読み進めていったら……はい、想像どおり落とし穴が。
1個430円で最低ロット20枚。名入れだけの版代ですら8400円もします。
オリジナルデザインで版を作ろうもんならいったいナンボするんやろう……恐ろしい! アカン。
完全に予算オーバー、めちゃ高です。
3件目、4件目と次から次に見ていくも、革に押し型で刻印パターンしか見つからず、どれも予算オーバーでアウトです。
値段的には1件目の、インクジェットの店ですが、写真のせいかなんか安っぽく見える。ページには小さな画像が1つのみ。なんで革にどんな感じで印刷されるか、はっきり見える画像を載せないの!? 自信ないのか? ……と悪口まで飛び出し始めました。
ギフトには小枚数注文でいいのに……
そこでひとまず一旦革から離れ、別の材質で探してみることにしました。
今度は【コースター オリジナル】で再検索開始。すると飲食店向けの大量、激安コースターのオンパレード。ギフトやから100枚もいらんねん! ちょうどいいコースターはないの!?
軽いめまいを感じながら、画像検索に切り換えてどんなコースターがオリジナルで作れるか作戦変更です。すると紙系の材質に混じって、コルクのコースターを発見。
革には負けるけどレーザー刻印なので、ちょっとエエもんに見える上に、モノクロなロゴの美容室になかなかマッチしそう。
【コースター オリジナル コルク】と入力して画像を一覧表示、その中からカッコいいコースター画像をクリックしては値段とロットをチェックです。
「おっ。ここ1枚から販売してる! しかも店舗指定のテンプレートでデータ入稿すれば版代無料! 10個作っても、予算内に収まるワ!」。
ようやく光が差してきました。しかもこの店、デザインが出来ない人用に原稿を郵送したら2000~3000円でデータ起こしのサービスまである。
「このデータ作成代行は強いよな。もっと『データ作成おまかせください』って大きく載せたらいいのに。パソコンで商品は探せても、データ作れる人ってそうそうおらんで。アタシの同級生なんて、スマホすら無理って言うてるぐらいやもん」。
聞かれてもいないのに、パソコン画面に向かって勝手にアドバイス&高齢者アピールです。
小ロット対応ならラッピングは対応して欲しい!
そうこう言いながらページ内の注文フォームに沿って必要事項を入力し送信ボタンをクリック。その後メールが来て製作用データを送信すれば注文完了です。
小一時間ぐらいでコースターにデザインしたイメージ画像がメールで送られてきました。これがなんともいい出来上がり。
ちょっとテンション上がります。
支払い方法が振込しかないのが残念やけど、入金後約4営業日で発送してくれるし、対応も早くていい感じのお店です。
ところがここで大問題が発生! 贈り物なのに、OPP袋に入れるラッピングしか出来ないというのです。こんなんであのカッコイイお店に贈ったら笑われるじゃあーりませんか!
「追加費用を払うからカッコよくラッピングして」とメールするも、申し訳ないが対応できないとの返答。
うーん残念。業者向け大量ロットの店なら仕方ないけど、小ロット対応するならアンタ!贈り物に決まってるでしょうが! ちょっとした包装紙に包んでリボンシール貼るだけでもいいからラッピングは対応して欲しい。
ま、手間が掛かるから嫌がる店舗は多いかもしれないけど。
でも、ラッピング対応できるってだけで「ギフト用の専門店=ちょっとランクの高いお店」って印象づけられるように思うんやけどなー。
ということで入金後待つこと5日。
到着した荷物をワクワクしながら開けてみると……。
うぉおお! エエやん。写真で見てたよりずっとええ感じ。コルクコースター、ゴメン! 正直、革より劣るってバカにしてました。さらにプチサプライズで、なんと1個おまけの11個も送ってくれてるなんて。うん、好き。こういうさりげないおまけサービス。
出来上がりにも満足だし、これならおしゃれ美容院さんも、きっと喜んでくれるはずです。
じゃ、編集長。後は任せた! こいつがさらにステキに高額に見えるように、ゴージャスなラッピング、夜露死苦でーす!