新事務所に越して来てはや1年。外観もリフォームして小綺麗になったものの、なぜかまだ物足りない。
「なんで? なにがアカンの?」。
表から俯瞰で眺め、うん納得。黒格子を入れて和風にしたのに、玄関がやけに洋風なまま。これや、こいつがガンや!
でも扉を和風の引き戸に変更するスペースも予算もない。あれこれ悩んでいた時に友人の店を見て閃いてしまいました。そうや、のれんで扉を隠してしまえ!。
目次
商店街にものれんは売ってない
ということで、のれん大捜索開始です。
友人にどこで買ったかを尋ねると、建築デザイナーさんに一式お願いしたので不明とのこと。でも「オーダーなので驚くほど高くてビビった」と、覚悟しろよの先制パンチ。
「既製の洒落たのれんを買ったほうが早いし安い」のアドバイスを元に近所のインテリアショップに突撃です。
欲しいサイズは幅1・2m。店内を探すも、どこにも見当たらず店員に尋ねると、「のれんは置いてない」とつれない返事。
そもそも、そんなに幅の大きな布物は扱っていないらしい。
なんて手強いもんを欲しがってしまったんや……と後悔しきりです。
商店街を探してものれんを扱うような店はなく、またインターネットで探すのか?
今の時代、パソコンで検索すればどうにか探して買えるけど、ネットがない時代はどうやってのれんを買ってたのか? ホンマに不思議。
生地は現物を見ないとイメージがわかない
パソコンで[のれん オーダー]で検索。
ヒットしまくりですワ。こんなに簡単に見つかるなら、わざわざ店を探しに行く必要もないかって感じ。
上から片っ端に見ていきますが、どの店も納期も早く詳しく情報が書いてあり、どの店で買ったらいいか迷うほど。
アタシが欲しいのれんは、
1、幅1・2mで長さは扉が隠れる程度。
2、ロゴ入り。
3、こだわりの色。
価格の相場がわからないけど、数年で替えるものじゃないので、安っぽいものではなくてある程度の値段はしかたないと覚悟しながらも、できれば4万円以内でって欲深い限りだワ、私。
まずはネットから見積もり依頼をしようとするも、長さが決まってないと入力不可に。
パンツの裾上げじゃないけれど、寸足らずだと格好わるいし、長すぎるとダサいかもと、長さ選びに悩みまくって、友人を呼んで2人して相談の結果、のれんの下が数十センチ空く1・8mぐらいになんとか決定。
再び見積もり依頼しようとすると、今度は「生地を選べ」。
説明は書いてあるものの、こればっかりは現物を見ないとイメージが湧きません。
どうしようかと思っていると……あるもんですね。生地サンプルを無料で送りますサービスのお店が。
たぶんあなたの店では買わないと思うけど、ゴメンナサイ。生地数の多いお店でサンプル依頼しちゃいました。
3万円とと5万円の価格差は何?
3日程するとメール便で、生地ごとに染めたゴージャスなサンプルが到着。
一瞬、もうこの店に決めちゃおうかと思ったけど、サンプル色の中から選ぶとお手頃なのに、好みの色に染めるとやけに値段がアップ。でも色はやっぱりこだわりたいし……。
サンプル生地を眺めながら、なんだかよさ気に見えたスラブ生地に決定。
そこから目星をつけていた数店へ一気に見積もり依頼。
翌日にはどの店からも見積もりが届いたけど、店によって3万円から5万円台まで開きがある!
その違いは何!? 価格差が不明すぎて、なんだかどこにも頼めなくなってしまいました。
で、しばらく放置していたら、1番安かったお店から電話が。
「いかがですか? ご不明な点があれば何でも聞いてください」
「検討中なのでまた連絡します」と電話を切るも2日おきの電話攻撃です。
やるなこの店! のれん屋からこんな積極的な営業電話を受けるなんて!
「欲しかったらこっちから電話するし、もう電話は止めて! 忙しいねん」と半ギレぎみに電話を切りながら、「こいつ根性あるな」と、あまのじゃく気質がムクムクとしてしまい、ここでお願いすることになりました。
めっちゃ安くて仕事も早い!
電話攻撃への怒りの方が大きく、なんでこんなに安いのか聞き忘れましたが、卸しだからみたいなことを言ってたような……ええ、そうです。
希望のものが安く手に入りさえすれば、文句はないのです。
後でやっぱり価格がアップすると言われたら嫌なので、スラブ生地、色はパントーン指定、3つ割れのれんのデータにイラレでデザインを入れて再度見積り依頼。
最初の見積りより高くなってたら、あの電話してきた兄ちゃんに文句言うたろ……と半ばワクワクと見積りを見ると、最初の提案価格のまま!
めっちゃ安いやん!
しかも、アタシにどやされたくせに仕事早いし!
初めの印象が悪い分、非常にいいお店に見えてしまうのです。途中のメールのやり取りもスムーズでレスポンスも早く、いい意味で期待を裏切ってくれました。
共チチ仕立て? 棒袋仕立て? それって何?
のれんってあまりにも非日常な商品で、やっぱり専門家に任せるのが一番と改めて思う次第。
だって、
「のれん棒を見せる共チチ仕立てとのれん棒を隠す棒袋仕立てがあるのでどっちがいいですか?」とか、何ですかそれ!?
データ入稿用ののれんデータが棒袋仕立てだったので、よくわからずそのままお願いしていたみたいでしたが、後で調べてみたら、こちらは関西風らしく製作工程が楽なので安く短納期でできるみたいでした。
こんなちょっとした、購入者にとったらどうでもいいこだわりを省くから安く作れるのかも。
やり取り開始から約2週間、待ちわびたのれんが到着。思った通りの良い色目、想像以上に生地もしっかりしていて、これが4万弱とはエエ買い物したわ、と自分のお店選びの目に惚れ惚れです。

早速入口にのれんを。

製作途中に知り合いから「のれんがずれるのを防ぐためにハトメ加工しなさい」とアドバイスをいただき、追加でお願い。プラス300円程度でした。
今回、何度も打合せのメールが必要など面倒なことも多かったけど、お店とやり取りが何度かあると安心感が違うし、お店との距離が近いなって感じでした。
最近いろんなオーダーグッズを買う機会が多いけど、どんどん実店舗で見つからない商品が増えてきて、ネット以外でどこに行けば買えるのか疑問です。
大阪でさえこんな状況なら、地方ではもっとネット利用率が高いんでしょう。
もうホームページがない店ってのは昔でいう所の、電話番号を電話帳に載せてないのに等しくなってきてるんやろーなぁ。