昨今、神社やお寺を参拝した証としてもらえる御朱印が人気ですが、御朱印と似た名前の「御陵印」というものもあります。御陵印は、天皇陵を参拝した「しるし」となるハンコ。全部で95個あり、それらは全国5カ所(桃山、古市、畝傍、月輪、多摩)にある陵墓を管理する「陵墓監区事務所」という施設で分担して管理されています。このコラムでは、御陵印とそれを管理する陵墓監区事務所について紹介します。
目次
そもそも「陵墓」とは?
全国5カ所の事務所が管理している「陵墓」とは、天皇、皇后、太皇太后、皇太后のお墓である「陵」と、その他の皇族のお墓である「墓」の総称です。近畿地方を中心に、北は山形県から南は鹿児島県まで1都2府30県にわたり、陵188、墓552のほか陵に準ずるもの42、陵墓参考地などを合わせると総計896に及びます。
ここからは、それらの陵墓を管理する各陵墓監区事務所を紹介します。
(1)桃山陵墓監区事務所
住所:京都府京都市伏見区桃山町古城山
天皇陵の御陵印25個と、神代三陵(天照大神の子孫の陵)の御陵印3個、計28個の御陵印を管理しています。周辺には、「明治天皇 伏見桃山陵」、「桓武天皇 柏原陵」、「昭憲皇太后 伏見桃山東陵」などの陵墓があります。
(2)古市陵墓監区事務所
住所:大阪府羽曳野市誉田6‐11‐3
「應神天皇陵 恵我藻伏崗陵」の側に設営された陵墓管区事務所。應神天皇陵の御陵印のほか、仁徳天皇陵、履中天皇陵などの御陵印計17個を管理しています。また所在地が大規模な前方後円墳が集中している大古墳群「百舌鳥・古市古墳群」に位置しているため、周辺には多くの古墳が見られます。
(3)畝傍陵墓監区事務所
住所:奈良県橿原市大久保町71‐1
大和三山の一つ「畝傍山」の北東の麓に位置する陵墓監区事務所。事務所そばには「神武天皇 畝傍山東北陵」があります。同天皇陵の御陵印のほか開化天皇陵や垂仁天皇陵、後醍醐天皇陵などの御陵印計30個を管理しています。
(4)月輪陵墓監区事務所
住所:京都府京都市東山区泉涌寺山内町34‐2
京阪本線「東福寺駅」から東に約1・5㎞のところにある陵墓監区事務所。多くの陵墓が密集する「泉山陵墓地」に位置しており、周辺には観光名所としても知られる「泉涌寺」などの史跡が多くあります。事務所では孝明天皇陵、後堀河天皇陵、月輪陵ほか、18個の御陵印を管理しています。
(5)多摩陵墓監区事務所
住所:東京都八王子市長房町1833
天皇陵の中では最も東にある「武蔵陵墓地」に隣接する陵墓監区事務所。大正天皇陵と昭和天皇陵の2陵の御陵印を管理しています。
参拝に行く際の注意事項
宮内庁のホームページによると、各陵墓への参拝は年間を通して可能。
ただし日によって参拝の取り扱いをしていない陵墓もあるので、参拝に行く時は事前に陵墓監区事務所に問い合わせてみましょう。
そして御陵印は、あくまでも天皇陵を参拝した「しるし」。スタンプラリー感覚でもらうのではなく、歴史を感じながら参拝し、いただくようにしましょう。
ここからは、各陵墓監区事務所で管理されている御陵印の印影を紹介します。